第二次世界大戦中に旧三菱鉱業(現三菱マテリアル)で強制労働を強いられていた89歳になる中国人元労働者、元労働者の遺族・家族7人、弁護士4人の被害者代表団が13日午後、要望書を携え、亡くなった元労働者の遺影を胸に、北京の日本大使館を訪れた。日本の安倍晋三首相の宛てられたその要望書は、大使館の職員に手渡された。被害者代表団一行は14日、上海に向かい、三菱マテリアル上海事務所を訪れ、同社の炭鉱などで強制労働を強いられた中国人元労働者3765人について、1人10万元(約165万円)の賠償金を求める要望書を提出する。人民網などが伝えた。
■加害事実の承認を日本政府に要求
各被害者団体が日本政府との交渉を繰り返すという前例はあったが、三菱の炭鉱で強制労働被害にあった被害者団体5つが共同で日本政府に要望書を提出したのは、今回が初のケースとなった。
日本政府に対する要望書には、(1)当時の日本政府が危害を加えたという事実を承認し、歴史的・法律的責任を自覚し、被害者全員に対して謝罪すること(2)誠意のこもった謝罪を行い、中国人労働者に償いをする(3)日本政府および関連企業は、共同で出資し、第二次大戦中の捕虜収容・強制連行・強制労働に関する史実を明らかにする記念碑を日本に建立する---などが列挙された。
■在中日本大使館「政府に要望を伝える」
日本大使館から出て来た被害者代表団の康健弁護士は、「1時間ほど大使館側と話しをした。我々代表団は言うべきことを一つずつ伝えた。大使館側からは、3人の職員が応対した。彼らは、要望書、被害者が口頭で訴えた苦痛や差し迫った要望について、上席者と日本政府に必ず伝えると約束した」と述べた。
康弁護士はさらに、「中国人元労働者に対し、日本企業と三菱、いずれにも賠償責任がある。日本政府には具体的な賠償金額をまだ提示していないが、三菱には明確な金額を提示している」と続けた。
【経緯】
第二次世界戦争中、日本政府と関連日本企業は、計4万人の中国人を日本に強制連行して強制労働を課し、うち約7千人が迫害を受け死亡した。中国人元労働者は、1995年以降、日本の裁判所に計14件の訴えを次々と起こした。2011年3月1日、中国元労働者が日本政府と鹿島建設を相手に損害賠償を求めた上告が日本の最高裁で棄却され、日本での裁判は全て終わった。康弁護士は「法的な観点から見ると、中国人労働者の訴えは全て退けられるという結果に終わった。日本の裁判所は、強制連行・強制労働の事実については認めたが、『中日両国の共同声明で、中国がすでに戦争賠償の請求権を放棄した』との見方を示した。しかしこれは、中国側の訴えを退ける理由としては成り立たない。中日共同声明には、『個々の中国人が賠償請求権を放棄した』とは記されていない。このような意味のすり替えは正しくない」と指摘した。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年5月14日
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