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【第76回】
ここ数年、中国でたこ焼き屋をちらほら見かけるようになったが、「これは!」というものには出合っていなかった。そんな中、本場の味にこだわったたこ焼き屋台があると聞き、さっそくインタビューした。なんでも、中国人が三輪車でいろいろなものを売っているのに触発され、同じように三輪自転車を購入し、たこ焼きを売り始めたという。今回はそんな由井さんに話を聞いた。
上海には約三年前にきました。以前、日本での仕事で中国(上海含め各地)に出張に来てからプライベートでも上海に来るようになり、この上海という大国際都市に何かしらの可能性を肌で感じて生活を始めました。
一年二カ月になります。
宮本さん(左) |
私がもともと上海にある日本人が経営するイベント会社でアルバイトをしている時に社長の川尻さんからたこ焼きの器材一式を買ってほしいと言う日本人がいると紹介をうけたのがきっかけです。
その方は宮本さんという兵庫県尼崎市出身の方で、私も昔、尼崎に三年ほど住んでいましたので意気投合し、私が即決で買い取ることにしました。その宮本さんは「アマのたこ焼きを上海で売って食べてもらうんや。」と夢をもって上海に来たのですが思うように事が進まず約半年で帰国することを決意をしたのでした。私は半年であきらめるのは早いなと思いましたが、どうやら宮本さんは上海に来る前に父親と約束をしていたそうです。「自分の実力がおよばなければあきらめる」と。んっ!引き際のいい男だ!私はその時、なぜか脳裏に一句よぎりました。「同郷の 夢のかけらを 我拾う」
それから私は屋号を「尼だこ」として彼の夢ともにたこ焼き屋を始めました。
移動販売時代 |