悟空が530日間に渡り入手した高精度宇宙電子線スペクトル(赤)、米フェルミの測定結果(青)、サミュエル・ティン氏が率いるアルファ磁気分光器の測定結果(緑)。
中国初の暗黒物質粒子探査衛星「悟空」は軌道上を飛行してから約2年が経過し、このほど、世界で精度が最高の宇宙電子線探査結果を入手した。この結果は科学者の宇宙暗黒物質への理解を深める可能性がある。関連論文は本日未明、有名学術誌「ネイチャー」(電子版)に掲載された。人民網が伝えた。
◆最も正確な観測、オリジナルの発見か
科学研究者によると、同衛星は軌道上の飛行を開始してから530日間に渡り、約28億本の高エネルギー宇宙放射線を収集した(150万個の高エネルギー電子を含む)。科学研究者はこれらのデータに基づき、世界で精度が最高の宇宙電子線探査結果を入手した。
米国のフェルミなどの海外の宇宙探査設備と比べ、悟空はエネルギー測定範囲、スペクトルの正確性などの性能が向上しており、さらには宇宙電子線スペクトルの1TeV(エネルギー単位)付近の屈曲を直接測定した。
暗黒物質衛星首席科学者の常進氏は、「この屈曲は宇宙中・高エネルギー電子放射源の典型的な加速能力を反映しており、一部の宇宙電子線が暗黒物質により生まれたかどうかを判断する上で重要な効果を発揮する」と指摘した。
今回最も注目を集めた発見は、スペクトルの高エネルギー帯で見られた「異常」データで、スペクトル曲線が尖っていた。悟空のデータ分析に参加した中国科学院紫金山天文台の范一中研究員は記者に対して、「これはそこにエネルギーの詳細な構造が存在することを示している。分析によると、この構造が生まれた原因は、暗黒物質である可能性が最も高い。しかし、さらに多くのデータによって確認する必要がある」と話した。
范氏は、「これが確認されれば、粒子物理もしくは天体物理のオリジナルの発見になる。悟空は良好なコンディションで飛行中で、深宇宙のさらに多くのデータを集めている」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2017年11月30日
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