清華大学芸術博物館が主催し、中国人民対外友好協会と黄山美術社が共催する、東京富士美術館所蔵作品による「西方絵画500年」展の一般公開が中日平和友好条約の発効日である23日に正式にスタートした。本展ではルネサンスから20世紀に至る500年の西洋絵画史を代表する作品60点が紹介、展示された。作品は「パーソナリティーディスカバリーとヒューマニティプロモーション」や「クラシカルラショナリティとロマンティックエモーション」など5つのテーマごとにエリア分けして展示されており、12月23日まで開催される予定。人民網が伝えた。
当日会場となる清華大学芸術博物館の1階フロアには大勢の来館者が集まり、西洋絵画史を代表するベッリーニやルーベンス、ラ・トゥール、マネ、モネ、ミレー、ゴッホ、ゴーギャン、ルノワール、ドガ、ピカソといった巨匠たちの名画を鑑賞したり、絵について語り合う様子が見られた。また、閉館後には東京富士美術館の五木田聡館長による絵画の講義会が行われ、展示作品の詳細が紹介された。会場は学生をはじめとする西洋絵画ファンたちで満席となり、立ったまま講義を聴く人の姿も多くみられる反響ぷりだった。また五木田館長は参加した若者たちに向けて、「今後世界のリーダーとして活躍する皆さんが、その若き日に芸術に触れてることが財産となれば嬉しい」と語りかけた。
展覧会に参加した日本人専門家の沓名美和さんは、「これだけのコレクションを中国で見ることは中々できない。欧米と比べ、中国には新しい美術館が多く、美術展経験もそれほど豊富とは言えない。そんな中、60点もの大作を貸し出すことは非常に勇気のいること」と話す。それでも、今回の展覧会を実行に移した経緯について五木田館長は「今から26年前の1992年に学芸員として初めて中国美術館で西洋美術展を手伝った時は、一生に1度しかない機会だと思った。しかし、自分が館長という立場になってから、もう一度あの時を再現してみたいという考えが芽生え、この中日平和友好条約締結40周年の節目という絶好のタイミングに実行に移した。そんな時にアジアの教育をリードする最高学府である清華大学の芸術博物館から声がかかり、我々にとってはこれ以上ない最高の舞台が用意されたと感じ、所蔵品の貸し出しを決意した」と語った。
今後の中日間の美術協力については、「東京富士美術館会館はかねてから中国美術や中国の文化に対しては特に心を砕いて行ってきた歴史があり、これからも中国の文化財を日本で紹介するという役割を担っていきたい。また、我々がコレクションしている作品を多くの中国の方々に見て欲しいという願いから、中国の美術館や博物館への作品の貸し出しをより活発にさせていきたい」としている。
五木田館長に本展覧会のオススメの3作品を問うと、「難しい質問だが、時系列順に17世紀のジョルジュ・ド・ラ・トゥールの作品、18世紀のフランソワ・ブーシェの大作『ヴィーナスの勝利』、それから、19世紀のエドゥワール・マネの『散歩』は是非じっくりみて欲しい」と勧めた。また、絵画の見方については「見る順番に決まりはない。現代から遡って見るもよし、自分の好きな絵を探してそこへ一直線に行くのもよし。必ずしも時系列に囚われる必要はない」とした。(文・洪東実)
「人民網日本語版」2018年10月24日
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