第13期全国人民代表大会(全人代)第5回会議は3月7日午後3時から、北京市の人民大会堂記者会見ホールで記者会見を行い、王毅国務委員兼外交部長(外相)が「中国外交政策と対外関係」について国内外の記者からの質問に答えた。
■北京冬季五輪
北京冬季五輪はより自信、自強、開放、包摂的な中国の姿を見せた。北京冬季五輪の成功は中国だけでなく、世界の成功でもあり、スポーツだけでなく、団結の成功でもある。現在北京冬季パラが開催されており、大会で集まった団結と協力の光は必ず暗雲や風雨を晴らし、人類が手を携えて未来へ進む道を照らしてくれると確信している。
■ウクライナ問題
ウクライナ情勢が今日のような局面に至ったのは、様々な要因による結果だ。複雑な問題の解決に必要なのは、冷静さと理性であり、火に油を注ぎ、矛盾を激化させることではない。中国は、現在の危機を解決するには、▽国連憲章の趣旨と原則を堅持し、各国の主権と領土保全を尊重・保障しなければならない▽安全の分割不可能原則を堅持し、当事国の合理的な安全保障上の懸念を考慮しなければならない▽対話・協議を通して、平和的な方法による紛争の解決を堅持しなければならない▽地域の長期にわたる安定と平穏に着眼し、均衡的、友好的かつ持続可能な欧州の安全保障メカニズムを構築しなければならないと考える。情勢が緊迫すればするほど、平和交渉は止めるべきではなく、食い違いが大きければ大きいほど、協議する必要がある。中国側は引き続き建設的な役割を果たし、必要な時に国際社会とともに必要な仲裁を展開する用意がある。
■百年未曽有の大変局
多国間主義の旗印の下、団結と協力を強め、手を携え人類運命共同体の構築を推し進めることが正しく、多様性があるからこそ素晴らしき世界が存在する。経済のグローバル化は時代の流れで、人の意思で変えられず、地政学的な競争によって切り離されることもない。グローバルなチャレンジを前に、我々は力を合わせてコロナ対策、テロリズム、気候変動、サイバーセキュリティなどの地球規模課題で意思疎通と協調を強め、最大公約数を求め、最大の同心円を描かなければならない。変動的で不安定な世界を前に、中国は常に安定性とプラスのエネルギーを体現し、歴史の前進する正しい方向に立っている。
■中露関係
中露関係は独立自主という価値を有し、同盟を結ばず、対抗せず、第三者を標的としないことを踏まえたもので、第三者によって干渉・挑発されるものではない。これは歴史的経験に対する総括であり、国際関係への革新でもある。中露関係の発展ははっきりとした歴史的ロジックと強い内生的原動力を有し、両国人民の友情は盤石で、双方の協力の見通しは明るい。国際情勢がいかに変化しても、中露は戦略的不動心を保ち、新時代の包括的戦略協力パートナーシップを絶えず推し進めるべきだ。
■中米関係
全力で中国とゼロサムゲームを展開し、中国の核心的利益を挑発し続ける米国の姿は責任ある大国のしかるべき姿ではない。中国は独立した主権国家として、自国の正当な権益を断固として守る措置を取る権利を有している。互いに依存するグローバル時代において、中米の正しい付き合い方をいかにして見出すかは、中米が共に解決せねばならない課題だ。中米は相互尊重・平和共存・協力ウィンウィンの「三原則」で競争・安定・発展の正しい道に戻すよう推し進めるべきだ。
■中日関係
日本は初心を忘れず、両国関係の正確な方向をとらえ、中日の四つの政治文書の原則と精神を着実に守り、「互いに協力パートナーとなり、互いに脅威とならない」「互いに相手の平和的発展を支持する」などの共通認識を実践に移し、両国関係が常に平和・友好の方向に沿って発展するようにするべきだ。日本側は潮流に逆行するのではなく、潮流に乗って行動すべきだ。他者のために火中の栗を拾い、隣国を災いのはけ口にするような誤った道を歩むべきではない。
■中国人のウクライナ退避について
我々が生活している世界は平和ではないが、祖国が平和であることを幸いに感じる。国民のための外交は常に前進し、海外にいる全ての同胞に、いつでもどこでもあなたの側に我々がいて、あなたの後ろに祖国がいることを行動を以て伝え続けていく。
■中欧関係
中国と欧州は第三者に立ち向かわず、頼らず、縛らずという関係にある。双方は相互尊重・互恵ウィンウィンを礎に対話と協力を展開し、激動する世界情勢により多くの安定的な要素を提供していく。中欧協力は何十年にもわたる試練を経験し、強い民意の基礎、広い共通利益、強靭性とポテンシャルを有し、どんな勢力によっても逆行することはない。中国は常に戦略的かつ長期的な角度から中欧関係を見ており、対欧政策は安定性と強靭性を保ち、一時的な出来事で中欧関係が変わることはない。
■一帯一路
新型コロナウイルスなどの影響を受けつつも、「一帯一路」(the Belt and Road)共同建設は勢いを保ち、そのインフラにおける「ハードコネクティビティ」は着実に推進され、「ソフトコネクティビティ」は成果が次々表れ、相互扶助が更に深化している。「一帯一路」は必ずやポストコロナ時代に世界の新たな発展の道を切り開くだろう。中国は引き続き国際社会と共に質の高い「一帯一路」共同建設を推進し、更に高い協力水準・投資効率・供給質量・発展強靭性に取り組み、世界と各国人民に貢献していく。
■グローバル発展イニシアティブ
グローバル発展イニシアティブの最も核心的な理念は人々を中心とすることであり、最も重要な目標は国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の実現に力添えをすることだ。持続可能な発展こそが良き発展であり、ともに発展することこそが真の発展だ。我々は各方面とともに重点分野・各国のニーズ・協力メカニズム・各界のパートナーと連携し、イニシアティブの着実な進展を推し進めていきたい。グローバル発展イニシアティブは習近平国家主席が「一帯一路」に次いで打ち出したもう一つの重要なイニシアティブだ。それはグローバル発展協力の「再動員」、人々を中心とする革新的人権理念に対する「再確認」でもある。南北の溝を縮小させ、発展の不均衡を解決するために「ロードマップ」を提供しただけでなく、国連2030アジェンダの推進加速にも役立つ。
■中韓関係
過ちを正すには根から正すべきであり、朝鮮半島問題の「根」となっているのは、朝鮮が直面する外部の安全の脅威が長期にわたり取り除かれず、その合理的な安全への関心が終始根本的に解決されていないことにある。中韓両国は競争相手ではなく、利益が交差し、優位性が相互補完し、巨大な潜在力を持つ協力パートナーだ。
■中央アジア
中国は、中国-中央アジア運命共同体構築を推し進めていく。中国と中央アジア五ヶ国との関係は「三十にして立つ」黄金時代にあり、前途は明るい。中国は五ヶ国とともにより緊密な中国-中央アジア運命共同体を築き、双方関係の次なるすばらしい30年を切り開いていく。
■台湾地区
台湾地区問題はウクライナ問題とは本質的な違いがあり、比較できない。一部の人はウクライナ問題において主権原則を強調している一方で、台湾地区問題においては中国の主権と領土保全を絶えず損なっている。これは露骨なダブルスタンダードだ。台湾地区の前途と希望は両岸関係の平和的発展にあり、国家統一の実現にあり、外部からの「空手形」に頼ることにはない。外部勢力に依存して独立を図っても活路はなく、「台湾を以て大陸を制する」ことは必ずや失敗に終わり、台湾地区は最終的に祖国の懐に帰ることになる。
■民主主義サミット
米国は公然とイデオロギーで線引きし、世界で分裂を引き起こし、民主精神を踏みにじっている。中国の全過程人民民主主義は、中国人民から擁護と支持を得ており、世界も評価している。米国の基準で民主主義を策定することこそ非民主の表れであり、民主を口実として他国の内政に干渉するのは民主の災いだ。中国は各国との平等な交流と相互参考を期待し、真の民主精神を発揚し、国際関係の民主化を推進し、人類発展事業がたゆまず前進することを促進していく。
■グローバルガバナンス
我々はBRICS協力を深化させていく。BRICSの中国語の翻訳名称は「金の煉瓦」であり、この金色をより一層鮮やかにさせ、南南協力という「金色の看板」を磨き上げ、手を携えて新型コロナウイルス感染症に打ち勝ち、世界経済回復に希望と自信を届ける。我々はポストコロナ時代におけるグローバルガバナンスを最適化させる「BRICS主張」を打ち出し、新型コロナを抑制する「BRICS防衛線」を固め、グローバル発展の「BRICSエキスプレス」の構築を加速させ、グローバル発展パートナーシップ関係の構築に「BRICS貢献」を果たしていく。グローバルガバナンスはアジアの時代を迎えた。新興市場と発展途上国がグローバルガバナンスの追随者から同行者、さらにそれを率いる者となり、より積極的な役割を発揮し、より大きな声を発信することを期待する。
■南太平洋諸国
南太平洋諸国に対して、中国は一貫して特別な関心と支持を寄せている。中国は南太平洋諸国と相互尊重・信頼し、平等に対応し、南太平洋諸国がその国情に沿った発展の道を歩むことを支持し、相互の助け合いとチャレンジ、相互学習と協力ウィンウィンを望んでいる。また中国は終始、南太平洋諸国の信頼足る友人として国の大小や制度の異なる国家が相互支持・団結協力する新たな手本の構築を望んでいる。
■中印関係
中国とインドのような十数億の人口を有する大国は、独立自主を堅持し、運命を自らの手に握って初めて、その国の発展と振興が真に実現できる。中国とインドの人口は合わせると28億を超え、世界の3分の1を占める。中国とインドが安定的な発展と友好的な付き合いを実現すれば、世界の平和と繁栄にとって堅固な基礎ができることにつながる。インド側が中国側と共に、「互いに脅威とならず、互いに発展のチャンスとなる」戦略的共通認識を堅持し、相互信頼を増進し、誤解と誤った判断を回避し、互いを消耗させるライバルではなく、互いに成果をあげられるパートナーとなり、両国関係が正しい軌道で前進することを希望する。
■アフガニスタン問題
現在アフガニスタンは動乱から秩序の回復に向かう重要な時期で、アフガニスタン人が主導し、その国情に沿った発展の道を積極的に模索するよう支持すべきだ。米国は直ちにアフガニスタンに対する在米財産の凍結や一方的制裁を解除し、条件無しでアフガニスタン人民の資産を返却すべきであり、「二次的被害」を与えるべきではない。
■南中国海
南中国海の長期的安定を実現するためには、より実質的でより効果的な地域ルールを作る必要がある。どのような交渉と協議においても、意見の相違が生じ得る。しかし、我々の目標が一致していることを各方面が胸に刻む限り、解消できない行き違いはなく、達することのできない共通認識はない。地域外の逆行する動きが南中国海に波風を立てることはできず、外部の撹乱が地域協力の歩みを止めさせることもできない。
■中国共産党
中国共産党の物語を語り、党の名を立て、名を正し、名を揚げるのが中国外交のしかるべき義務と重要な責任だ。国際社会は中国共産党により注目し、より認めるようになっており、中国人民を率いて勝ち得た偉大な成果に敬意を感じる外国人が増え、その成功の秘訣を探求したいと考える国も増えている。中国共産党を見る目がより明るく、観察する視野がより広く、その認識もより深く、全面的なものになっている。中国は引き続きより多くの外国人が中国共産党を真に理解するよう取り組んでいく。
■中国・アフリカ関係
中国の対アフリカ協力は信用を重んじ、約束を守ってきた。中国は「中国-アフリカ友好協力精神」を発揚し、アフリカ諸国と共に、感染症対策協力に力を入れ、実務協力の質の向上とグレードアップを促進し、「アフリカの角」平和発展構想を推進していく。
「人民網日本語版」2022年3月8日