12年かけて高原に建設された高低差2000メートルの川青鉄道
11月28日、茂県駅近くの山地を走る川青鉄道の列車。
11月28日、茂県駅でダンスを踊って列車の開通を祝う各少数民族の人々。
青蔵(チベット)高原の一部である川西北高原初の鉄道「川青鉄道(四川・成都―青海・西寧)」の青白江東-鎮江関区間が今月28日に開通。阿壩蔵(アバ・チベット)族羌(チャン)族自治州茂県で1本目となる列車C6008号が、茂県駅から同日午前11時6分に出発し、同自治州は「高速鉄道」時代へ突入した。地元の人々はこの日の到来を首を長くして待っていた。華西都市報が報じた。
同鉄道の開通により、四川省成都市と茂県、鎮江関間の所要時間がそれぞれ最短55分と86分にまで短縮された。
2011年に着工し、12年後となる今年に開通を迎えた、「天に近い」と言われるこの鉄道(以下、「川青鉄道」)は、数え切れないほどの建設作業員の血と涙の結晶と言える。
1本目の列車のチケット購入のためにわざわざ来た地元の人も
茂県渭門鎮に住む男性・戴さんは、28日午前9時過ぎには茂県駅に到着した。その理由について、「高速鉄道が家の近くを走るようになり、気分がとても高揚している。1本目の列車のチケットを買うために来た」と説明した。
同じく1本目の列車の発車を見守るためにやって来た人の中に、川青鉄道のレール敷設工事に従事した中鉄八局の作業員十数人もおり、「今までの敷設工事で一番難度が高かった。2015年から工事を始め、8年の歳月をかけて、ついに開通を迎えた。本当に大変だった」と感慨深く語っていた。
同鉄道開通を祝おうと、いろんな人がいろんな思いを抱いてやって来ていた。茂県駅に到着すると、人々はまず駅前広場の歓喜に満ちた賑やかな雰囲気に目を留めていた。阿壩蔵族羌族自治州の各地域に住む蔵族や羌族、回族といった少数民族の人々が伝統衣装を着て、祝祭日を祝う時に踊るダンスを披露していたのだ。
張大秀さん(74)は、「こんなに盛り上がっている様子を見るのは初めて。とても感動した。鉄道がついに開通した。見るだけでなく、今後はそれに乗りたい」と興奮気味に話していた。
苦心の末、建設された川青鉄道
全長206キロの川青鉄道が2011年に着工して今年開通するまで、実に12年の月日を必要とした。建設責任者である成蘭鉄路公司成蘭指揮部の肖霞林指揮長は、その苦労を身に染みて感じたうちの1人だ。
「工事の妨げとなるものがたくさんあった。中には中国の鉄道建設の歴史において始めて直面する困難もあった。例えば、この線路の高低差は過去最大で、標高は500メートルから2500メートルまで上がっていく。また、地質構造も最も複雑で、断層破砕帯が11ヶ所ある。そのため、川青鉄道は、研究を重ねながら建設を進めた鉄道で、たくさんの革新的技術が生まれた。そして、中国全土の山地における鉄道建設に、指導的参考を提供している」と肖指揮長。
川青鉄道はマグニチュード(M)8の大地震の被災地を通る世界初の鉄道で、建設作業員はその安全を守るために、苦心した。トンネルの安全性を強化すべく、作業員は、革新的なトンネル内の構造を編み出し、動物の脊椎の形を模倣して、剛性と強靭性を兼ね備えることができるようにした。そのため、外部からかかる歪曲したり、ずれようとしたりする力に対し、一程度耐えることができるようになっている。
アクセスが便利になり、阿壩蔵族羌族自治州の観光が活性化へ
阿壩蔵族羌族自治州初の鉄道となった川青鉄道は、目に見える変化をもたらしている。
茂県の「六月紅」花椒専業合作社の何有信理事長は、茂県-成都間の所要時間が約10時間から3時間に、そして現在の1時間以内にまで短縮する過程を目の当たりにしてきた。「鉄道が開通し、当県の農業副産物の輸送が非常に便利になる。さらに遠くへと販売されるようになると確信している」と力強く語る。
阿壩蔵族羌族自治州文化・体育・観光局党組の陳順清書記は、「鉄道が開通し、当自治州の観光資源が全面的に活性化されることになる。観光客は、便利、快適、安全に移動して、旅行を楽しむことができるようになった。開通後、九寨溝や黄竜を代表とするハイクオリティの景勝地が『成都平原2時間観光圈』に組み込まれることになったので、観光客はスピーディーに当自治州に来て、昼間はスキー、夜は温泉を楽しむことができるほか、青い空の下に広がる高原の美しい景色を堪能することができる」とした。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年12月1日
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