「南極天目」時間領域天文望遠鏡アレイプロトタイプの開発に成功
独特な地理的位置と環境により、南極は天文観測に理想的な地域になっている。中国科学院上海天文台は15日、「南極天目」時間領域天文望遠鏡アレイプロトタイプの開発に成功したと明らかにした。新華社が伝えた。
中国科学院上海天文台が2019年に打ち出した「南極天目」プロジェクトは、南極に100基の小口径広視野望遠鏡からなる光学望遠鏡アレイを設置する計画だ。1基の望遠鏡の視野は約100平方度で、地平線から30度以上の1万平方度の宇宙エリアをカバーする。毎年の極夜に連続的な観測を行い、短時間スケール時間領域天文学観測研究分野の重要なブレイクスルーの達成を目指す。
同プロトタイプ責任者でシニアエンジニアの周丹氏は、「このプロトタイプは自然資源部(省)中国極地研究センターの力強いサポートと協力により、中国第39次南極観測期間中に中山基地に運ばれた。観測隊員は設備の設置・調整を順調に行った後、今年2月20日に観測を開始してから、10月26日に観測を終了するまで故障は発生しておらず、南極の極夜に大量の観測データを取得した」と説明した。
上海天文台のチームは観測画像を深く分析した。初期的な結果によると、同プロトタイプの30秒の露光写真のうち、9等星以上の恒星の測光精度は1000分の1等級に達する。この測光精度は「南極天目」時間領域天文望遠鏡アレイの観測の条件を満たしている。これは同プロトタイプが設計の革新性、環境適応性、ドリフトスキャンCCD技術の応用性、運営の信頼性などの面で合理的かつ実行可能であり、開発に成功したことを物語っている。
周氏は、「技術の進歩に伴い、現代天文学はすでに静的な宇宙の描写から動的な宇宙の認識に発展している。長期的なマルチバンド観測を通して、宇宙における各種天体の変化を解明し、各種の新天体、新現象を発見し探査する。これは天文学における新しい分野である時間領域天文学だ。時間領域天文学はすでに天文学における牽引的な役割を持つ重要先端分野になっている。同プロトタイプは中国初のドリフトスキャンCCD技術に基づく南極天文観測設備だ」と説明した。
ドリフトスキャンCCD技術は、上海天文台が20年近くにわたり研究開発を続けてきた中核技術だ。同技術により望遠鏡は駆動機構がなくても天体を追跡でき、同時に1本の赤緯ゾーンに対して連続的に観測し、システムの信頼性とサーベイの効率を大幅に高めることができる。
「同プロトタイプは南極で氷点下37.3℃の最低気温、最大風速38.6m/sの厳しい環境を乗り越えた。設備の稼働が安定的で、観測画像の画質が優れており、ドリフトスキャンCCD技術の一体型構造設計の極地天文分野における応用の優位性を示している。南極天文望遠鏡に頻繁に起きる故障の問題を効果的に解決する見込みだ」と周氏。
中国科学院上海天文台の沈志強台長は、「『南極天目』プロジェクトは今後時間領域天文望遠鏡アレイの完成機を開発し、数回に分けて南極に設置することを目指す」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2023年12月18日
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