「孫子の兵法」やコンサートの応援ライト 若者が2023年に買ったものトップ10は?

人民網日本語版 2023年12月29日10:43

若者たちがこの1年にネット通販で買い物をしたショッピングカートには、彼らの1年間の心の状態がありありと記録されている。淘宝(タオバオ)が今月25日に発表した2023年人気商品トップ10には、書籍「孫子の兵法」、「醤香ラテ」(瑞幸珈琲<ラッキンコーヒー>と中国の高級酒・茅台酒<マオタイ>とのコラボ商品。醤香は白酒の香りの種類の一つ)、涿州図書応援パック、「アインシュタインの脳」、コンサート用オーダー応援ライト、中国伝統衣装のスカート「馬面裙」、クロックスのサンダル、「巨大モバイルバッテリー」の陸上商用モジュール化小型原子炉「玲瓏1号」、プラムの一種を使ったジャム「烏梅子醤」、コエンザイムQ10が並んだ。「中国青年報」が伝えた。

消費には生きるためと仕事のための消費があると言うなら、文化消費とは往々にして好きだからという気持ちを満たすための消費だと言える。2023年は、映画でもテレビドラマでも、注目の作品が次々登場した。今年の大ヒットテレビドラマ「狂飇」の放送期間中、淘宝では、主人公が愛読する書籍「孫子の兵法」が非常によく売れ、続いて原作の小説も一時は在庫がなくなるほどの人気で、大いに売り上げを伸ばしたオンライン書店も多かった。音楽作品から派生して人気が出た商品もある。シンガーソングライター李栄浩(リー・ロンハオ)の曲「烏梅子醤(The Dark Plum Sauce)」がネットを席巻し、誰もが「君の淡い微笑みは烏梅子醤のよう」という歌詞に出てくるプラムジャムの味を知りたがった。淘宝の店舗はこの「ホットで巨大なニーズ」を鋭く察知し、「烏梅子醤」関連の新商品を積極的に開発して売り出し、大きな儲けを手にした。

2023年には、若者はようやくオフラインでも文化やエンターテインメントを楽しむ選択肢を持てるようになった。この1年間、エンターテインメント市場が全面的に復活し、コンサートが次々に開催され、第1-3四半期に中国全土で開催された大型コンサートや音楽イベント公演数は1137本、観客動員数は延べ1145万人に達した。若者にとって、コンサートは見たり聴いたりするだけでなく、その場の雰囲気に浸って楽しむことがより重要だ。その目的を果たすために、コンサートを盛り上げるための定番商品であるLED応援ボードやペンライトが人気商品になった。淘宝でこうした商品を扱う多くの店舗が、「今年は10年ぶりに商売が好調な年だった」と話す。主にペンライトを扱うネット店舗オーナーによると、「今年の売上高は200万元(約3980万円、1元は19.9円)に上り、前年同期比で700%以上増加した」という。

若者はコンサートの熱狂とトレンドを好むだけでなく、中国伝統文化の奥深さと時を経て感じられる新鮮さも好んでいる。今年、「中国華服デー」は5回目を迎え、1万人以上にも及ぶ中国伝統衣装を愛好する若者たちがこの日、着飾って街に繰り出した。今年流行した中国伝統衣装について話すなら、「馬面裙」というスカートを忘れるわけにはいかない。明の時代に流行した馬面裙は、600年あまりたった今、再び「普段着アイテム」になり、日常のコーディネートに取り入れられ、仕事の日にも休みの日にも着られるアイテムになった。今年のダブル11(11月11日のネット通販イベント)には、淘宝プラットフォームで馬面裙が73万着以上売れた。広げるとサッカーコート105面分になる量だ。

豊かで楽しい生活を追い求める若者たちも、周りで災難が起これば、被災地や被災者に心を寄せることを忘れてはいない。2023年の7月末から8月初めにかけて、河北省涿州市で洪水が起こり、同市に倉庫があった出版社の多くが被害を受けた。その後、淘宝プラットフォームに「涿州図書専用コーナー」が登場した。多くのネットユーザーが「水に浸かった本」を購入しようとしたが、濡れた本は細菌が発生しやすく、読むこともできない。淘宝に出店している出版社はどこも「水に浸かった本」を売らないことにし、印刷所を探して再度印刷することにしたところもあれば、予約販売の形を取ったところもあった。ネットユーザーは被災地の出版社を応援しようと次々に注文し、成約額は累計で3000万元(約5億9700億円)を超えて、被災した涿州の出版社が苦境を乗り切る手助けをした。

今年トップ10入りした商品のうち、「アインシュタインの脳」は非常にユニークで斬新な商品であり、初めて淘宝人気トップ10に入ったバーチャル商品でもある。「アインシュタインの脳」という商品が若者の人気商品になるとは、アインシュタイン本人でも思いもよらなかっただろう。商品ページにはアインシュタインの顔写真が掲げられ、数角(10角は1元)の価格が表示されており、購入すると「自動的に頭が良くなる」と謳っている。これに似たバーチャル商品には、「智商(IQ)+1」、「考編上岸(公務員試験合格)」、「offer好運噴霧(就職好運スプレー)」などがあり、受験シーズンになると売り上げが急増する。サスペンス映画「消失的她(消えた彼女)」の上映期間中も、バーチャル商品「罵醒恋愛脳(恋愛でいっぱいの頭に活を入れる)」が急速に売り上げを伸ばした。こうした商品は本質的に、若者が自分を励まし元気づけるためか、友人同士で互いに楽しむための「ちょっとしたセレモニー」感のある商品だ。バーチャル商品が広く歓迎される背景には、新たな世代の若者に特有の消費嗜好が反映されており、自分で自分の精神状態を整え、感情面の癒やしを重視することが、若者たちが心の内の挫折に向き合うための新たな方法になっていることがうかがえる。

2023年に、私たちはドラマを見て、本を読み、ペンライトを振ってコンサートを楽しみ、馬面裙を履いて地下鉄のラッシュにもまれ、淄博(しはく)バーベキューを食べに行き、醤香ラテを飲み、そして「運気+1」を買って不確実な未来が少しだけ幸せになるよう願った。こうしたことは、総合的な現象でもなければ意味深いことではないかもしれないが、こうした確かな文化消費の中にこそ、確かな文化的生活の営みがある。高大上(ハイエンド・上品・高級)ではないかもしれないが、彩りに満ちた暮らしがその中にある。(編集KS)

「人民網日本語版」2023年12月29日

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