実験室で肉を「培養」
規則正しい「印刷音」の中、赤と白の「バイオインク」が入ったプリントヘッドが前後に動き、白いトレーの中の四角い「豚肉」が徐々に厚くなり、美味しそうな色に変わってきた……。南京農業大学肉品質制御・新資源創成全国重点実験室に足を踏み入れると、科学研究者は3Dバイオプリンティング細胞培養肉の研究を行っていた。新華網が伝えた。
南京農業大学肉品質制御・新資源創成全国重点実験室、国家肉品質安全制御工学技術研究センターで展示された3Dバイオプリンティング細胞培養肉技術。撮影・趙久龍
南京農業大学特任教授で実験室の室長を務める周光宏氏は、「3Dバイオプリンティング細胞培養肉技術はすでに成熟している。肉の形も赤身と白身の割合もパーソナライズが可能だ」と述べた。
周氏は取材に、「『細胞培養肉』は肉類の動物の体内における成長の法則に基づき、体外培養及びバイオマニュファクチャリングの方法を利用し動物の細胞を培養し生産する食用肉だ。つまり飼育と屠殺をすることなく肉を食べられ、食感や風味をコントロールでき、さらにタンパク質や脂肪の量を人工的に調節し、飽和脂肪酸を減らすことができる」と述べた。
2009年、周氏はチームを率い、「幹細胞肉」を目標とする研究活動を開始した。19年、そのチームは5gの「豚肉」を培養し、中国初の「細胞培養肉」が誕生した。23年、細胞培養豚脂肪500リットルバイオリアクターのパイロット量産を実現し、最終的に5kgの「細胞培養肉」が誕生し、産業化の道がほぼ築かれた。
周子未来研究開発センターの職員である况毅氏は、「豚や牛の飼育には数ヶ月、さらには数年かかるが、細胞培養肉を工場で生産するようになると、生産期間は数週間しかかからない」と述べた。ドイツの調査会社スタティスタ(Statista)のデータによると、40年には世界の肉製品市場のうち40%が通常動物肉、35%が細胞培養肉、25%が植物タンパク肉になると予想される。
周氏は、「大まかな計算によると、細胞培養肉が量産の段階に入れば、エネルギー消費量を大幅に削減でき、温室効果ガス排出量を78%-96%、土地使用を80%-99%、水使用量を82%-96%減らせる」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2024年6月13日
注目フォトニュース
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257 Mail:japan@people.cn