中医学の海外進出における最大の収穫は「民心の通じ合い」

アスタナ中国—カザフスタン伝統医学センター

人民網日本語版 2024年07月04日14:41

木々が生い茂り、さわやかな夏の朝に、カザフスタンの首都アスタナにある中国—カザフスタン伝統医学センターに足を踏み入れると、お灸独特の香りが立ちこめていた。

診療所の営業が始まると、地元に住む女性患者のGulzhinaさんが家族に支えられながら入って来た。脳梗塞の手術を受けたという彼女は他の患者から聞いて、リハビリのために同センターに来たのだという。

推拿療法を受けるGulzhinaさんの担当医師は、留学生時代に「私は外国人だけど、『外人(中国語では他人の意)』ではない」という言葉で、中国の多くの人を感動させたカザフスタン人のIsmail Daurov(中国語名・馬文軒)さんだ。陝西中医薬大学で中医学を8年学んだ馬文軒さんは現在、中医学医師として中国—カザフスタン伝統医学センターに勤務している。

馬文軒さんは診療室で患者に丁寧な治療を施しながら、「推拿は身体のエネルギーである『気』の通り道『経絡』の流れを良くする。お灸は、『陽気』を補い、体を温めてくれる。また抜罐(カッピング)は『体内に溜まった湿気』を取り除き、血液の循環を改善してくれる。中国で中医学を学んだ8年間は、私の人生において最も幸せな時間だった。中医学をカザフスタンで伝え、中国とカザフスタンの交流の架け橋になりたい」と語った。

別の「中医学治療室(小児)」というプレートが掲げられた診療室の壁には、小児患者のための経絡やツボを示す図が掲示されていた。中国—カザフスタン伝統医学センターの第一陣の医療専門家である賈忠林氏は、脳性麻痺児であるMagzhanくん(7)に推拿療法を施していた。Magzhanくんは手振りを交えながら、中国語でゆっくりと「おはようございます」と言った。中国の医師の感想を聞いたところ、Magzhanくんに付き添っていた祖母がサムズアップしながら、「とってもいいわよ!」と称賛し、診療室は笑い声に包まれた。

別の街に住んでいるMagzhanくんは治療を受けるために中国—カザフスタン伝統医学センターにこれまですでに十数回来ているといい、祖母は「治療を始めたころに比べて、話せる言葉が大分増えた。手足の動きも良くなった」とした。

2022年12月に設立して以来、中国—カザフスタン伝統医学センターではこれまでに、患者延べ約8000人が受診してきたほか、延べ200人以上に対して国際遠隔診療を実施してきた。現在、中国とカザフスタンの中医学医師約10人が診察を行っており、受診する患者は1日当たり約60人となっている。

外国で医療に従事する賈氏は、「現地の人々の中医学に対する信頼と期待」に最も感動しているといい、「中医学は人間本位を理念としており、身体を治療だけでなく、きちんと患者の精神を癒すことも重視している。中国とカザフスタンの人々の心を一つに繋げることができたというのが、最も暖かい収穫だ」との見方を示した。(編集KN)

「人民網日本語版」2024年7月4日

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