AIの活用進む中国の医療現場 「Apple Vision Pro」もオペ室で活躍中?
米アップルは先ごろ、「空間コンピューティングデバイス」である「Vision Pro」を発売した。ただその販売価格は3万元から(1元は約22.2円。日本での販売価格は59万9800円から)と高価なため、「技術オタク」であっても、まだなかなか手が出せていないようだ。そんな中、中国では外科医がすでにオペ室に導入し、活用している。
テクノロジー感満載のある動画が最近、話題を集めている。その動画を見ると、外科医が「Apple Vision Pro」のARヘッドマウントディスプレイを装着して、手慣れた様子で患者に手術を施している。
手術が行われているのは、北京大学人民病院のオペ室で、同病院の王俊院士が率いるチームが、中国国内で初めて「Apple Vision Pro」を活用して、胸腔鏡を使った肺がんの根治を目指す手術を行った。執刀医は高健医師が務めた。
写真提供・北京大学人民病院
同チームによると、胸部外科の胸腔鏡手術では、先進的なディスプレイ技術が、執刀医をサポートする重要な役割を果たしている。デジタルコンテンツと、現実世界がシームレスに統合され、医師に、高い解像度で、超低遅延のストリーミング処理を提供し、医師は手術の初めから最後まで、ディスプレイを見ながら手術を行うことができる。
中国各地においては、各大手医療機関が技術革新を通して、「オペ室の革命」、ひいては「病院全体の革命」を試みている。
例えば、復旦大学附属産婦人科病院の専門家は、「5G+AI」技術を活用して、手術支援ロボットを正確に遠隔操作して、2000キロ以上離れた場所にいる、多発性子宮筋腫が原因で貧血が起きている患者を対象に、腹腔鏡手術を行った。かかった時間は約2時間で、手術は無事成功した。
上海市第一人民病院は数日前、モバイル決済サービス「支付宝(アリペイ)」と共同で開発した、上海初の「AI陪診師」をリリースした。基盤モデルやデジタルヒューマンといった技術をベースに、通院する患者と双方向のやり取りをしながら付き添うサービスを提供してくれる。
現在、治療薬やワクチンの開発、医療用ロボットといったさまざまな分野において、人工知能(AI)技術が幅広く活用されている。
先ごろ世界経済フォーラム(WEF)が発表した「2024年新興テクノロジー・トップ10」のトップは科学発見を駆動する人工知能(AI)だった。
米市場調査会社・IDCの統計データによると、2025年には、世界のAI応用市場の規模は1270億ドル(1ドルは約161.4円)に拡大し、医療業界がそのうちの5分の1を占めるとみられている。そしてそれがこの先5年の間、成長が最も著しい競争の場の一つとなりそうだ。
医学設備の分野を見ると、大まかな統計ながら、2023年末の時点で、中国では、AI関連の医学設備63種類と、医療用ロボット61種類が認可を経て、発売されている。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年7月5日
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