悟空の正体は「彼」! 「天命人」の動きを担当したモーションアクター
ここ数日間、中国初の国産AAAゲーム「黒神話:悟空」がインターネット全体で人気を博し、美しいゲームグラフィックや心を打たれるストーリー展開に引かれただけでなく、キャラクターの動きにも目を奪われたというネットユーザーがたくさんいる。
例えば、流れるような格闘シーンや真に迫った動作や表情などだ。
こうした動きはどのようにして制作されたのか。
キャラクターの背後に「彼」の存在
ゲームのキャラクターを作り上げるため、制作サイドはモーションキャプチャ技術を大量に使用するとともに、プロのモーションアクターを起用した。
モーションアクターはモーションキャプチャスーツを着て、体中に光を反射させる反射マーカーを貼り付ける。複数台のカメラが360度の方向でアクターの動きを撮影し、動作をとらえバーチャルデータを作成して3Dモデルに反映させ、細かい修正など一連の作業を経て、最終的にゲームの中のキャラクターになる。
山東省淄博市出身の殷凱さんは、主人公「天命人」の動きの大半を担当した。「西遊記」が題材のゲームで孫悟空を演じると知った時は、すごく興奮した。「子どもの頃、孫悟空になることを夢見た人はたくさんいると思う。自分も小さい時から武術を学び、(猿の動きに棒術を組み合わせた)猿棒も学んだことがある。だから二つ返事で引き受けた」という。
ゲームの中のキャラクターのすべての動作と決めポーズは、細かく練り上げられたものだ。殷さんはパフォーマンスの中で、格闘シーンがより激しく、かつ美しく見えるようにするため、中国の武術や伝統演劇の要素を多分に盛り込んだ。
アクターは体の動きで、キャラクターに個性を与える。キャラクターにふさわしい動作を作り上げるため、殷さんは観察を行い、「天命人」の猿らしさと神聖さを表現するため、切磋琢磨と模倣を繰り返した。
「天命人」以外にも、このゲームには「火刀狼」や「虎先鋒」など、よく知られたキャラクターにも、殷さんがアクターとして関わった。
殷さんは、「モーションキャプチャアクターはバックグランドにいることがほとんどで、通常は1つのキャラクターのアクションを終えると、ゲームの中に落とし込んでその効果を確認し、ふさわしくなければアクションプランを練り直し、満足のいく動きが出来るまでプランを練り続ける。撮影には時間がかかり、朝10時に始まって翌日未明2時までかかったこともある」と説明した。
副業から本業へ モーションキャプチャの会社を設立した殷凱さん
殷さんは上海体育学院で演技を専攻した。「うちの大学の演技学科はモーションアクターを目指して学生を教育する。別の大学の動きの授業はダンスを学ぶかもしれないが、うちで学ぶのは武術だ」と殷さん。
そして、あるゲームの制作会社が大学に来てモーションアクターを探していたとき、殷さんに白羽の矢が立てられた。殷さんは、「その時初めてモーションキャプチャに出会った。当時は副業と考えていたが、撮影している間にこちらが本業になっていった」と振り返った。
殷さんは今では自分でモーションキャプチャの会社を設立し、これまでに「和平精英(ゲーム・フォー・ピース)」や「原神」などの人気ゲームでモーションアクターを務めた。(編集KS)
「人民網日本語版」2024年8月29日
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