約100人の雇用を創出してきた「95後」の女性ウォールアートアーティスト

人民網日本語版 2024年10月15日16:22

国慶節(建国記念日、10月1日)に合わせて1日から7日までが7連休となった中国。連休中、福建省福州市にある金山派出所の入口の左側には、毎日、多くの人がやって来て、そこにある白い壁をキャンバスにして絵を描いていた。

中国特有の「福の文化」をテーマにしたウォールアート「十警送十福」が間もなく、完成して一般公開されることになっている。

ウォールアートを請負っているのは「95後(1995-99年生まれ)」の女性・林小燕さん(29)率いるウォールアート制作チームのアトリエ「木木小鳥」だ。大学時代に起業し、経営するようになった林さんのチームはこれまでに、約100人の雇用を創出し、年間売上高は1千万元(1元は約21.1円)を超えている。

自身が手掛けたウォールアートの前に立つ林小燕さん。

自身が手掛けたウォールアートの前に立つ林小燕さん。

福州・閩侯県出身の林さんは、福建師範大学・協和学院の2年生だった2016年に起業した。

林さんは、「当時、事故に遭い、怪我をして休学しなければならなくなった。その時、学校と社会からの寄付を受けた。起業したのは、得意なことを仕事にしたかったのもあるが、自分ができることをして社会に恩返しがしたかったから。そこでアトリエを立ち上げて、絵を描く仕事を請負うようになった」と振り返る。

林さんは当初、同級生の女性4人と一緒にチームを立ち上げた。一番初めに請負ったのはオンラインゲーム関連の絵を10作品制作する仕事で、クライアントはインターネットカフェ、微博(ウェイボー)を通して見つけたという。

そして、女性数人で1週間かけて仕上げ、3000元(1元は約21.1円)の利益を上げ、とてもうれしかったと振り返る。その後、手ごろな価格で、サービスのクオリティも高いため、注文がどんどん舞い込むようになった。時には大学の教員から仕事を紹介してもらったりしながら、アトリエは少しずつ軌道に乗っていった。

自身が手掛けたウォールアートの前に立つ林小燕さん。

自身が手掛けたウォールアートの前に立つ林小燕さん。

大学は、林さんのアトリエが大学と起業の提携を展開できるようサポートしてくれたほか、さらに、起業チームに無料で場所を提供。そして、アトリエ側も毎年、同大学の学生を実習生として受け入れているほか、卒業生を雇用するようになった。林さんの大学時代の起業指導教員・羅燕雲さんは、「年間、学生10人ほどが林さんのアトリエで実習している。彼女は自分の経験を例に、思い切って起業してみるよう、後輩たちに勧めている」と話す。

林さんは事業が波に乗ると、農村で文化観光をテーマにしたウォールアートを制作することに着目し始めた。そして福州市永泰県の白雲郷白雲村で、ウォールアート30-40作品を制作した。ウォールアートと、村ののどかな景色がうまくコラボレーションし、若者の間で「人気スポット」となったウォールアートもある。

農村でウォールアートを制作する林小燕さんのチーム。

農村でウォールアートを制作する林小燕さんのチーム。

現在までに福州金山派出所の「十警送十福」をテーマにしたウォールアートは、警察のキャラクターや赤い「福」の字が壁に描き出されるなど、仕上げの手前の段階までできている。林さんによると、ウォールアートには、パトカーや詐欺防止といった警察に関係する要素のほか、切り紙といった無形文化遺産、ジャスミン、ガジュマルといった福州文化も取り入れているという。

いろんなテーマのウォールアートを手掛け、起業して雇用を創出するまでになった経験について、林さんは、「一番高い作品は1作品10万元以上だった。仕事で行った最も遠い所は海南省と東北エリア。今後は、もっとたくさんの若者に加入してもらい、いろんなアイデアや特技を生かして、さらに多くの価値を生み出していきたい」と語り、充実感を漂わせていた。 (編集KN)

「人民網日本語版」2024年10月15日

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