「秋拾い」が中国の若者の間で大人気に
11月に入り、中国各地で「秋にしか見られない」美しい景色が広がり、モクゲンジを車に飾ったり、イチョウの葉をクリマスツリーに飾ったり、楓の葉でしおりを作ったりする「秋拾い」が、若者の間で人気になっている。多くの人が今、自然の美しい場所に行き、赤や黄色に染まった葉を拾って、しおりや絵、装飾品を作り、SNSで披露している。中国新聞社が報じた。
「秋拾い」とは、秋に落ち葉や果実を拾い、記念品や作品を作ることだ。若者がアートな表現やアイデアを披露し、自分の気持ちなどを表現する一つの方法となっている。
「秋拾い」にインスピレーションを得てフラワーデザイナーが作ったアレンジメント作品。(画像は取材対応者が提供)
安徽省の合肥植物園で午後から日が暮れるまで過ごしたという大学生の王如さんは、「『秋拾い』を楽しむと心が癒される。拾った落ち葉や果実を使って植物の標本を作り、秋を具現化したい」と話す。
ブロガーの厳悦さんは、「子供に葉っぱに絵を描かせると、自由な創作力を高めることができる。大自然は子供にとって一番の先生」と話す。4歳の子供と一緒に「秋拾い」を楽しみ、拾ってきた物で葉っぱの本を作ったり、葉っぱの冠を作ったりするという。
フラワーデザイナーの沈新亮さんも、「秋拾い」をしながらインスピレーションを探すのが好きだという。「『秋色』系のアレンジメントは、ブラウンと温かいオレンジ色の組み合わせをベースカラーにして、綿花やタチバナモドキの実、まつぼっくりなどをポイントに使うと、素敵な仕上がりになるだけでなく、縁起もいい。秋になると花束のオーダーが増える。ブラウンやオレンジなどを基調にした「メイラードスタイル」の花束は30歳前後の若者に人気で、1日に売れる花束の6割以上を占めている。写真映えするし、他の人からの評価も高い」と話す。
11月1日、秋景色の美しい安徽省黄山市徽州区の西渓南景勝地を歩く女性。撮影・韓蘇原
「秋拾い」がトレンドとなるにつれて、多くの観光地が「秋」をテーマにしたアクティビティを打ち出し、多くの事業者や企業が「秋」特需に注目している。口コミサイト・大衆点評を見ると、秋を楽しむための「攻略ガイド」的な書き込みがここ2週間の間に約170%増え、収穫期を迎えた田んぼを見に行ったり、オレンジ色の実が鈴なりの柿を鑑賞したり、キンモクセイの花を探したり、秋の天日干しである「晒秋」の景色や、歴史ある建築物と秋の景色の「競演」を楽しんだりするアクティビティが大きな話題となっている。
中国各地も「秋」をテーマにした文化観光を打ち出している。例えば、山東省は「山に登って秋の景色を鑑賞」、「山や野原で星鑑賞」、「田園で秋満喫」といったセレモニー感あふれる5つのプランを打ち出し、観光客に秋を存分に楽しんでもらっている。甘粛省隴南市では、樹齢1千年のイチョウの木が人気となっているのを背景に、「イチョウ」をテーマにしたアグリツーリズムが盛り上がりを見せ、民泊施設産業が急発展している。杭州市の満覚隴村では、「キンモクセイ茶」作りや「キンモクセイ飴」作りを体験することができ、経済効果が高まっている。
10月29日、稲が黄金色に染まり美しい秋景色が広がる安徽省黄山市黟県宏村鎮塔川村。撮影・方龍
安徽省黄山市黄山区の太平湖国家湿地公園には今、シラサギが飛来し、シラサギのいる秋景色を一目見ようと、多くの観光客が押し寄せている。黄山区舒渓村に住む「90後(1990年生まれ)」の起業家・梅娉艶さんは、「秋景色を楽しむ旅行の人気が高まるにつれて、民泊施設の売上高は7万元(1元は約21.4円)増え、土産物の売上高は10万元以上に達した。村では秋景色を楽しむハイキングコースも打ち出し、観光客が湿地の美しい景色を楽しんだり、収獲の喜びを体感したりできるようにしている」と説明する。
安徽財経大学工商管理学院旅行管理学科の王良挙教授は、「『秋拾いに出かける』ことが、秋のアウトドアレジャーの新たなトレンドと文化観光消費の新たな動向となっている。中国各地は『秋』をテーマにした観光と消費の新しいシーンを打ち出し、『秋経済』の発展に弾みをつけている」と分析している。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年11月5日
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