中国16兆元超の新規融資はどこへ向かったか

人民網日本語版 2024年11月13日10:28

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中国人民銀行(中央銀行)は11日、2024年10月の金融統計データを発表した。それによると、今年1-10月に、人民元建て融資は16兆5200億元(1元は約21.4円)増加した。この融資は主にどこへ向かったのだろうか。

人民銀行によると、10月末現在、「専精特新(専門化・精密化・特徴化・新規性)」の企業向け融資残高は前年同期比13.6%増の4兆2300億元、テクノロジー型中小企業向け融資残高は同21%増の3兆1700億元、包摂融資としての小企業・零細企業向け融資残高は同15%増の約33兆元だった。これらの融資の成長率は同期の他の各種融資の成長率を上回った。

これと同時に、1-10月には、中国の住宅ローンが2兆1000億元増加した。人民銀行によると、10月には個人の住宅ローンの規模が安定し、1-9月の毎月平均690億元減少との水準より明らかに好調で、過去2年間の同期の水準も上回った。

招聯金融の董希淼首席研究員は、「これまでに各種政策が徐々に実施されて効果を上げ、経済支援の役割が持続的に発揮されていた。特に今年9月下旬以降は、中国人民銀行が不動産金融の政策を最適化・調整し、資本市場を支援する2つの金融政策ツールを創設し、市場からは積極的な反応があった」と述べた。

データを見ると、10月末の広義マネーサプライ(M2)の残高は前年同期比で7.5%増加し、成長率が回復上昇を続けていた。狭義マネーサプライ(M1)の残高の前年同期比成長率は前月より上昇した。M2とM1の「鋏状価格差」が狭まり、経済は安定に向かい、好転した。

董首席研究員は、「経済成長をめぐる政策パッケージが予想を効果的に改善し、一部の投資家のリスク選好がより積極的なものになった。資本市場を支援する新しいツールが登場するにつれて、商業銀行の非銀行金融機関への融資が増加したことも、M2の増加を直接的に推進した。このほか財政支出が加速し、財政資金が企業資金へとより多く転換するようになった」との見方を示した。

年初以来、中国の金利水準は安定の中で低下する流れを維持し、企業と個人は資金調達のコストがさらに低下した。人民銀行によると、10月の企業向け新規融資の加重平均金利は3.5%前後、新規の個人住宅ローンの金利は3.15%前後となり、いずれも歴史的な低水準だったという。

中国民生銀行の温彬首席研究員は、「経済成長をめぐる政策パッケージが実施されていることを踏まえると、融資の審査、与信、資金引き出しなどにもプロセスが必要であり、これから政策の効果がさらに顕在化するだろう。一連の財政支援政策により、社会的期待と市場の信頼感が上昇し続け、融資ニーズが一層改善され、資金調達コストもさらに低下する見込みだ」との見方を示した。

人民銀行がこのほど発表した24年第3四半期(7-9月)の中国金融政策執行報告によると、人民銀行は今後、支援的な金融政策という立場を揺るぎなく堅持し、金融政策の調整・コントロールを強化し、経済の安定的な成長と質の高い発展のために通貨および金融の良好な環境を創出するとしている。(編集KS)

「人民網日本語版」2024年11月13日

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