天山山脈を貫く世界最長の高速道路トンネルが貫通
12月30日午前11時頃、新疆維吾爾(ウイグル)自治区の天山山脈の奥地で歓声が上がった。世界最長の高速道路トンネル「天山勝利トンネル」が全線貫通したのだ。同トンネルは、新疆維吾爾自治区の南北を隔てる天山山脈を貫いており、山脈を越えるのに必要な時間がわずか20分ほどに短縮される。新華社が報じた。
同日、長さ22.13キロのトンネルに北側から南に向かって車で入ると、内部は広々としていて明るく、二車線の道路の路面はきれいに舗装されていた。
天山勝利トンネルは、新疆烏魯木斉(ウルムチ)市から巴音郭楞蒙古(バリンゴリン・モンゴル)自治州尉犁(ロプノール)県を結ぶ烏尉高速道路における重要プロジェクト。新疆維吾爾自治区・交通運輸庁によると、2020年4月に着工してから約5年の間に、作業員数千人が天山山脈の奥地で作業に奮闘した。中国の高速道路のトンネル建設において、秦嶺山脈の「終南山トンネル」に続く快挙となった。
新疆・烏魯木斉市烏魯木斉県で撮影した建設中の烏尉高速道路・天山勝利トンネル入口(12月20日、ドローンで撮影・王菲)。
■天山山脈にトンネルを建設するのはどれほど難しい?
工事を担当した中国交通建設集団有限公司の毛錦波・烏尉高速第6区間チーフエンジニアによると、トンネルを建設するためには「長」、「多」、「深」、「高」という難関を突破しなければならなかったという。「長」は、約22.13キロというトンネルの長さを指し、この長さは車が走行する南京長江大橋5基の総和に相当する。「多」は、断裂帯が多いことを指す。天山山脈は「地質博物館」と呼ばれており、トンネルは16の断裂帯を貫通している。「深」は、トンネルの土被りや換気用の立坑がこれまでになく深いことを指す。例えば、2号立坑の深さは706メートルで、北京の超高層ビル「中国尊(チャイナ・ズン)」(高さ528メートル)を超えている。「高」さは、標高が「高」く、冬の寒さが厳しいほか、高地ストレスが「高」く、地震が起きると震度が「高」く(大きく)なること、さらに、環境保護に対する要求が「高」いことを指す。
新疆の天山勝利トンネル内で作業を行う作業員(12月25日、撮影・胡虎虎)。
中国交通運輸部(省)道路局の周栄峰局長は、「天山勝利トンネルが貫通したことで、高速道路のトンネルの長さの世界記録が更新され、交通強国建設を加速させる中国において、重要なシンボル的プロジェクトの一つとなった」と強調する。
トンネルが完成すると、天山山脈を越えるのに必要な時間が約20分に短縮される。2025年に、烏尉高速道路が全線開通すれば、烏魯木斉市から新疆南部の庫爾勒(コルラ)市まで車で移動する際の所要時間は、約7時間から約3時間に短縮される見込みだ。
天山山脈の南部と北部を頻繁に往復しているというトラック運転手の卡迪爾・阿不力孜さんは、「以前、天山山脈を越えるには、ガソリンを満タンにしなければならなかったが、今後はわずかで済むようになる。また、道路が凍結して荷物を運べないというのは過去のことになり、今後は物流がさらに円滑になるだろう」と喜んでいる。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年12月31日
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