敦煌に3本のグリーンベルト 莫高窟の砂の堆積量が95%以上減少
「莫高窟の砂掃除」は、何世代にもわたり甘粛省敦煌市の莫高窟で人々が共有してきた印象深い記憶だが、今では「微風と晴天」が敦煌の新常態(ニューノーマル)になった。このことは「中国の極乾燥地域」と呼ばれた敦煌における生態安全バリアの構築の1つの縮図だ。これまでに3本のグリーンベルトがほぼ構築され、防風防砂の能力が大幅に向上し、砂塵が吹き荒れる現象の発生頻度が減少した。中国新聞社が伝えた。
写真は、甘粛省酒泉市の疎勒河の中流・下流域の防砂林草総合ガバナンスプロジェクト(敦煌市)陽関鎮プロジェクト砂対策エリアの様子。(資料写真、写真提供は敦煌市林業草原事務センター)
敦煌市林業草原事務センターの夏生福センター長は23日の単独取材で、「ここ数年、敦煌は現地の状況に合わせて重点地域での防砂プロジェクト、砂の移動を抑えての植林・植草(固砂林)、砂漠化した土地の封鎖・保護、劣化した草原の修復などの措置を取り、砂漠化した土地のガバナンスを加速し、外周の灌漑・植林エリア、オアシス周辺の防風林ベルト、耕作地・居住地の防護林ベルト(ネット)からなる3本のグリーンベルトをほぼ構築した」と説明した。
庫姆塔格(クムタグ)砂漠の東端にある敦煌市は、オアシス面積が総土地面積の4.5%しかなく、水の蒸発量は年間平均で降水量の60倍近くになり、「中国で最も乾燥した地域の一つ」と呼ばれる。同市は中国河西回廊-塔克拉瑪干(タクラマカン)砂漠国境防御戦の戦略的エリアの一角でもある。
夏氏によると、「三北(西北・華北・東北)」プロジェクトの建設、草原の生態保護修復、重点風砂エリアのガバナンスなどの生態プロジェクトを通じて、敦煌市は節水型灌漑、混交型造林、バイオ技術を用いた砂漠化対策などの実用的技術を積極的に推進し、草原の植物を中心とした砂漠エリアの生態安全システムを構築・強化してきた。これと同時に、国内の複数の科学研究機関が構築した複数の砂漠化封鎖モニタリングスポットと連携して、科学的な砂漠化対策を探求してきたという。
2024年6月5日に撮影された敦煌莫高窟の空撮写真には、防砂林ベルト、草方格(乾燥したワラで1m四方のワラを碁盤の目のように並べて砂に埋め込むこと)による砂の固化、防砂ネット、砂利による砂押さえなど何重もの措置による多層的な防砂システムが確認される。(資料写真。撮影・李亜龍))
敦煌が構築した生態安全バリアは、今や目に映る景観にも反映されている。敦煌駅と市街地エリアを結ぶ10数キロメートルの道路沿いには、高くそびえたつ広大な防風林帯が広がっており、風すら通さないような配置は、視覚的に圧倒される。
長年にわたり風に侵食され、砂が堆積し、風砂による損害を受けてきた莫高窟は、数十年にわたり砂漠化対策の新技術、新材料、新モデルを導入し続けた結果、今では莫高窟エリアの砂の堆積量が95%以上減少し、風砂による損害が効果的に軽減され、同エリアの観光環境が改善された。敦煌研究院は引き続き壁画に対する細かい粉塵などの潜在的な影響に注目し、防護対策のさらなる研究を進めるとしている。(編集KS)
「人民網日本語版」2025年2月26日
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