複数台・マルチシーン・マルチタスクの人型ロボットが協同訓練を実施

人民網日本語版 2025年03月05日10:02

深セン市優必選科技有限公司はこのほど、極氪5Gスマート工場で複数台・マルチシーン・マルチタスクの人型ロボット協同訓練を実施したことが、同社への取材で分かった。マルチタスク工業シーン向けの汎用人型ロボット共同作業ソリューションの構築を模索し、産業用人型ロボットの単体の自律作業から群知能への進化を推進するという。人民日報海外版が伝えた。

資材の仕分け、ボックスの搬送、精密な組み立て……工場では、数十台の人型ロボットが組立作業場、SPS計器エリア、品質検査エリア、ドア取付エリアなど複数の作業シーンに配置され、マルチタスク協同作業を実施していた。これは優必選が独自に研究開発した産業用人型ロボット「Walker S」シリーズが、東風柳汽、吉利汽車、アウディ一汽、BYD(比亜迪)など複数の企業の生産作業場における単体によるスマート自律訓練を実施した後の群知能技術を応用した協同訓練のシーンだ。

群知能技術の研究開発は、人型ロボットの産業シーンにおける大規模応用の実現に必要不可欠なものだ。優必選は今回の訓練で、人型ロボット集団を物理的な担い手として、集団行動と外部物理環境の集中的なインタラクションによって進化する高次のエンボディドAIを模索。そのためには優必選は人型ロボット集団ブレーンネットワークソフトウェアアーキテクチャを提案した上、人型ロボットのインターネットを設計し、群知能のソフト・ハードウェアの実現に参考モデルを提供している。

この人型ロボットマルチモーダル推論大規模言語モデルはDeepSeek-R1深層推論技術に基づき、人型ロボットに人類の常識に近い推論能力を持たせ、複数台の人型ロボット間の複雑なタスクの効率的な分業と調整に対応している。複数の工場の現場における訓練で蓄積した1億レベルの工業データセットによる訓練と最適化により、マルチモーダルの特性を増やすとともに、検索拡張生成(RAG)技術を用いた迅速な専門職種訓練により、ロボットの複数の作業スペースにおける意思決定能力と一般化能力を高め、人型ロボットの産業シーンにおける大規模応用に強力なサポートを提供する。

協同仕分け作業では、人型ロボットはクロスドメイン完全視覚認識技術とスマート混合意思決定技術を応用し、動的目標のクロスドメイン連続認識・追跡を実現。ロボット集団の協同で全体マップを構築し、「集団構築・集団共有」を実現するとともに、クラウドブレーンとローカルブレーンのタスクを動的に分配し、「エッジ・クラウド統合」の群知能意思決定を実現。共同搬送シーンでは、優必選は共同計画制御システムを構築し、ルート計画、積載物識別、柔軟制御のマルチロボット協同を実現。ロボットが搬送中に姿勢と力を動的に調整できるように保証し、大型・重量物の搬送安定性を大幅に向上させる。精密組立シーンでは、人型ロボットは小型で変形しやすい柔軟薄膜物体に対して、高精度認識と自己適応制御技術により、掴み取りの力と姿勢を動的に調整し、薄膜物体が組み立ての過程で傷つかず、ズレが生じないようにする。

優必選の関係責任者によると、群知能は複雑なシーンにおいて、分散した個体の動的インタラクション・協同により、単体の能力を超える全体的知能を生み出すことで、人型ロボットの効率的な意思決定と自己適応最適化を支援し、クロスシーンとクロスタスクの大規模商業化のブレイクスルーを果たす。このブレイクスルーは人型ロボットのスマート製造における大規模導入に向けた基準を確立するだけでなく、新型工業化の「半柔軟製造」から「全柔軟スマート製造」へのパラダイムシフトを推進することになるという。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年3月5日

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