中国の北斗衛星測位システム、南アフリカの農業を「照らす」

人民網日本語版 2025年03月21日10:30

アフリカ大陸の南端に位置するリンポポ州の広大な農地の上空で、中国の北斗衛星測位システムの信号が静かにこの土地の伝統的な農法を変えつつある。北斗高精度測位、スマート農機ナビゲーション、農業ビッグデータ管理などの技術を導入することにより、現地の農家は天候に依存した農業からスマート農業への飛躍を実現し、南アフリカ農業の現代化に新たな原動力を注入した。科技日報が伝えた。

南アフリカのヴェンダ大学で14日、「リンポポ州とヴェンダ大学の科学研究戦略会議」が行われた。会議では、北斗衛星測位試験施設の現地の農業生産促進に果たす役割のさらなる強化や、ヴェンダ大学グリーンテクノロジー孔子学院が中・南ア両国の科学技術のさらなる協力にいかに寄与するかなどのテーマが深く議論された上、北斗衛星測位試験装置の運用状況の現場視察も行われた。ヴェンダ大学科学技術イノベーション部門、南アフリカリンポポ州知事室、ヴェンダ大学グリーンテクノロジー孔子学院などの関係者が出席した。

伝統農業と衛星システムの融合

南アフリカと中国は2021年に北斗システム応用協力覚書に署名した。リンポポ州は初の農業デジタル化実験エリアに選ばれた。中国科学技術部(省)と南アフリカ科学技術・イノベーション省の共同支援の下、ヴェンダ大学と北京航空航天大学が協力して設立した「中国アフリカ北斗衛星測位システムおよびリモートセンシング応用共同実験室」が2024年9月、正式に発足した。10月には初のデータ受信局がヴェンダ大学に設置され、運用開始した。

北斗地上強化ステーションの配置、スマート端末・設備の配備、技術研修の実施により、北斗衛星測位システムが南アフリカの農地にもたらされ、深い変革を引き起こしている。

静かに進行する農地革命

「静かな農地」の革命が徐々に展開している。まずは正確な播種と管理だ。ヴェンダ大学科学・工学・農業学院試験農場マネージャーのクタマ氏は、「北斗測位システムと作物の圃場管理を結びつけることで、作物の成長、施肥、虫害などのデータをリアルタイムで監視し、農業技術普及機関、農場経営者、農家の正確な管理を指導し、集約化経営を実現するとともに、自然災害の影響を最小限に抑えることができる。さらに、スマート農機を導入すれば、あらかじめ設定された経路に沿ったセンチメートル級の精度を誇る直線播種が可能となり、重複や漏れを防ぐことで、種子の利用率を大幅に高めることができる。また、土壌成分センサーを搭載した農機により、窒素、リン、カリウムの含有量がリアルタイムで分析され、必要に応じた可変施肥が行われることで化学肥料の使用量を削減する」と述べた。

次にスマート灌漑及び災害予測だ。北斗測位とリモートセンシングデータにより、農地は細かい区画に分けられ、湿度センサーがデータをクラウドプラットフォームに伝送する。農家は携帯アプリで灌漑設備を遠隔制御でき、水資源の消費を大幅に削減できる。システムはさらに気象衛星データと連携し、干ばつや豪雨の予兆を事前に警告することで、農家による農作業計画の速やかな調整を支援する。

さらに、農産物のトレーサビリティと市場連携だ。すべての農地の作物の成長データがプラットフォームに記録され、消費者はQRコードをスキャンすることで生産工程全体を知ることができる。クタマ氏は、「この技術は畜産業にも応用可能だ。センサーを装着した牛や羊の日常的な飲食や運動などのデータがリアルタイムで監視・分析されることで、飼育の質と肉質を保証するのみならず、正確なトレーサビリティの確保にも寄与する」と述べた。

中国・アフリカ協力によるグリーンテクノロジーの深化

クタマ氏によると、ヴェンダ大学が開催するデジタル農業研修コースは常に定員いっぱいで、毎回の受講者は400人以上にも達する。スマート農業とデジタル経済の恩恵を実感した現地の農場経営者は、北斗衛星試験システムの農業分野への普及を推進する主要な担い手となっている。クタマ氏はリンポポ州政府に対し、実践的なPR活動を実施し、より多くの農場経営者が自ら北斗農業システムを導入し、より多くの人と南アフリカの農業に利益をもたらすよう呼び掛けた。そして、「北斗農業システムの導入は単なる技術の向上にとどまらず、南アフリカの農業をグローバルなデジタル化の潮流に乗せる重要なチャンスでもある」と述べた。

より多くの農地が北斗の「天眼」によって照らされるようになるにつれ、リンポポ州における豊かな収穫の光景は中国・アフリカ科学技術協力による持続可能な開発を推進する生き生きとした説明になっている。

ヴェンダ大学グリーンテクノロジー孔子学院は、湖北工業大学とヴェンダ大学が共同で設立した、アフリカさらには世界初のグリーンテクノロジーを特色とする孔子学院だ。同学院は2013年12月5日にヴェンダ大学で盛大に発足し、2024年2月に正式に学生を受け入れ始めた。設立以来、グリーンテクノロジーを主軸とし、国際中国語教育、グローバル化人材の共同育成、共同研究、技術移転など、多岐にわたる協力活動を展開している。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年3月21日

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