中国の科学者、害虫の薬剤耐性の重要メカニズムを解明
中国農業科学院深セン農業ゲノム研究所の最新の研究によると、害虫の体内には農薬の薬剤耐性と直接関係する特殊なタンパク質があることが明らかになった。同研究は、このタンパク質の昆虫の体内における脂質の輸送及び農薬を排出する全過程を解明し、新型グリーン農薬の開発や薬剤耐性の問題の効果的な解決に全く新しいアプローチを切り開いている。これに関連する研究成果は25日午前0時頃、国際的学術誌「セル」にオンライン掲載された。新華社が伝えた。
当面、害虫の薬剤耐性の問題が深刻化しており、世界の食糧供給安全を脅かしている。効果的で環境に優しく薬剤耐性が低いグリーン農薬の開発は、農薬産業の発展の方向性となっている。論文の連絡著者で、中国農業科学院深セン農業ゲノム研究所教授の楊青氏は、「グリーン農薬の開発で鍵になるのは、人と家畜にとって安全なグリーン農薬分子標的を探すことだ。これは害虫を射撃するようなもので、害虫を一撃で死に至らしめる的を探す必要がある」と述べた。
楊氏のチームはこの「的」を探す過程において、昆虫の体内に輸送機能を持つタンパク質があることを発見した。昆虫とその他の節足動物の中にしか存在せず、人類、脊椎動物、植物の中には存在しない。開発が待たれる、理想的な農薬分子標的として適している。
楊氏のチームは世界的な害虫コクヌストモドキを実験対象に、この輸送タンパク質の昆虫の体内におけるタンパク質輸送及び農薬を排出する全過程を解析した。楊氏は、「このタンパク質輸送機能を阻害できれば、害虫の表皮の防護バリアと解毒メカニズムを無効化することができる」と述べた。これを踏まえた上で、楊氏のチームはこのタンパク質輸送を阻害できる低分子阻害剤を発見した。
楊氏は、「科学研究チームはこれからグリーン農薬の開発を急ぎ、製薬コストを削減し、研究成果の産業化を推進するために努力を続ける」と述べた。
同研究は中国農業科学院深セン農業ゲノム研究所や、植物病虫害総合管理全国重点実験室などの機関が共同で実施した。(編集YF)
「人民網日本語版」2024年12月26日
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