安徽省合肥市にある「量子大通り」
安徽省合肥市の2024世界製造業大会展示館内で2024年9月20日、超伝導量子コンピューター「本源悟空」の模型を見学する来場者。撮影・王玉実(人民図片)
安徽省合肥ハイテク産業開発区の雲飛路には、一定の間隔で「量子」という目立つ看板が設置されていることにより、「量子大通り」という名で広く知られるようになった。この「量子大通り」には30数社の量子テクノロジーリーディングカンパニーが集積し、量子コンピューティング・通信・測量の3つの主要分野を網羅し、中国で最も密集した量子産業エコシステムを形成している。人民日報が伝えた。
科大国盾量子技術股份有限公司(以下「国盾量子」)の展示ホールに足を踏み入れると、量子テクノロジーの発展の歴史が目に飛び込んでくる。リアルタイムで映像が流れる大型スクリーンには、量子暗号通信「京滬幹線」の運用状況が直観的に表示されていた。国盾量子のチーフサイエンティストである彭承志氏は、「従来的なデジタル暗号技術による情報伝送は、大規模な演算能力に直面すると解読される恐れがあるのに対し、量子鍵配送は演算能力の向上に対応し、漏洩リスクを効果的に低減できる」と述べた。
2009年に創業された国盾量子は、合肥市の「量子通信試験モデルネットワーク」科学技術重要特別プロジェクトの建設を引き受けた。国盾量子の周雷副総裁は、「当社はこのプロジェクトにより、世界初の量子通信ネットワークを構築し、当社の技術は実験室の分散型試作機から一定の産業機能を備える試作機へと転換された」と述べた。
国盾量子が生産する鍵配送装置の進化が加速している。展示ホールには、人の背丈に近い冷蔵庫型量子鍵配送試作機からビデオデッキサイズの最新製品に至り、量子暗号通信機器の集積度が向上し続けている。周氏は、「量子鍵配送システムは現在、多くの設備に直接搭載することができ、設置コストが低減している」と述べた。
これまでの技術と応用の蓄積により、国盾量子はその後も中国最大・最広域・最多用途を誇る量子暗号通信ネットワーク「合肥量子都市域網」と量子暗号通信「京滬幹線」の構築を主導した。さらに、量子衛星「墨子号」の打ち上げにより、暗号通信の範囲は都市域・都市間から宇宙空間へと拡張された。
合肥市科学技術局の呂波副局長は、「当市は量子テクノロジーの革新的な発展の重要な発信地で、中国全土の3分の1近くの量子テクノロジー企業が集積している。市全体の量子産業チェーンの川上・川下企業は70社を超え、全国最多となっている。産業エコシステムの観点からすれば、当市は基礎研究から中核技術のブレイクスルー、工学応用、産業化に至るまでの完全な生態チェーンを初期的に構築した」と述べた。
量子コンピューティングの応用における重要な評価基準の一つは、従来のスーパーコンピューターと比べた場合の「優位性」の検証だ。中国の科学者チームは今年3月初旬、105ビットの量子コンピューティングプロトタイプ「祖沖之3号」の構築に成功し、超伝導システム量子コンピューティングの優位性の記録を更新し、超伝導量子および光量子という2つの技術ロードマップにおける中国の「量子優位性」を実現した。
本源量子計算科技有限公司の実験室に入ると、「本源悟空」と記された円筒形の大型装置が吊り下げられていた。これは国盾量子が研究開発した第3世代独自超伝導量子コンピューターで、中国先端のプログラマブルかつ納品済みの超伝導量子コンピューターだ。
「本源悟空」のリリースにより、合肥市は中国初の独自超伝導量子コンピューター製造チェーンを初期的に形成した。「本源悟空」は現在まで139の国・地域から2000万回以上アクセスされ、34万件以上の量子コンピューティングタスクが実行されている。これには流体力学、金融、バイオ医薬品など複数の産業分野をカバーしている。
また量子産業エコシステムをさらに最適化するため、合肥は高度な産業交流プラットフォームの構築を積極的に推進している。量子テクノロジーと産業大会、高水準の学術会議・フォーラムなどを4回連続で開催。量子産業全チェーン主体の参加を牽引し、川上・川下プロジェクト、イノベーション要素、人材資源を有機的に連携させ、量子テクノロジー企業の集積化を推進し、世界的な影響力を持つ「量子センター」の構築を目指している。(編集YF)
「人民網日本語版」2025年5月13日
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