中国で「エモ消費」が活況 今日も楽しむためにお金を使った?
リズムの速い現代の生活において、「感情」に注目し、自分が楽しむために、喜んでお金を使い、玩具を買ったり、コンサートに行ったりする若者が今、中国で増えている。「2024中国青年消費動向報告」によると、回答した若者の約3割が「情緒的価値や身心を癒すためにお金を使う」と答え、「楽しむためになら金に糸目を付けない」が多くの人の消費理念になっている。
上海の繁華街・淮海路では、鮮やかな色の内装の雑貨屋が目立っており、店内に入ると、多くの若者が「梅有煩悩(悩みナシ)」と書かれた装飾品や、「你很行 請走行人通道(とってもイケてる イケてる人用横断歩道)」と書かれた道路標識のような装飾品といった、ユニークなフレーズが書かれた商品を足を止めて見ていた。
ユニークな商品のほか、99元(1元は約20.5円)で、「人生」をテーマにした四コマ漫画を描いてもらえるサービスも、若者に人気となっていた。消費者は、指定の紙に、思い出や夢などを書くと、30分ほどで、世界に一つだけのおもしろい4コマ漫画を作成してもらえるという。
ソーシャルコマースプラットフォーム・小紅書の検索データによると、ここ3年、アロマグッズや睡眠の質向上、デザイナーズトイといった、「感情」と関連のある書き込みの数が400倍以上増えた。ショッピングサイト・淘宝のデータによると、2024年、「情緒的価値」や「趣味」のためというのが、若者の消費の主な理由になっており、オーダーメイド系の人気商品のうち、手書きアイコンやユニークなデザインの抱き枕、ワーカーの「心の声」が書かれたアクリルスタンドなどの売上高が50%以上増えている。
市場で売上が伸びるにつれて、業界には発展のチャンスがもたらされている。ストレス解消系の玩具や観葉植物といった若者に大人気の「エモ消費」系の商品が今、企業や農家の業績を押し上げる商品となっている。
福建省のある企業を取材すると、サンプルが保管されている部屋には、小動物がデザインされたモチモチ感のあるスクイーズ玩具やシリコンのでっぱりを押したり押し上げたりする玩具など、ストレス解消系の新商品の玩具がたくさんあった。責任者は取材に対して、「当社は以前、工芸品を作っていた。でも、エモ消費市場が活況になっているのを背景に、ストレス解消系のストラップを作ってみたところ、大ヒット商品になった」と説明した。
同社は昨年から、商品のラインナップを全てストレス解消系の玩具にチェンジし、展示・販売イベントに何回か参加して、海外のクライアントとの取引が始まり、販売ルートができたという。
「情緒的価値」のために喜んでお金を使う人がどんどん増えるという新たな流れは、消費市場にも変化をもたらし、想象力をあふれる新興職業も誕生している。
元々「デザイナーズトイ」が大好きという黄鋳浩さんは昨年、一般的な工芸品デザイナーから、ストレス解消系の玩具のデザイナーに転向。デザイナー系が専門であるという強みを生かして、これまでに30種類以上の大ヒット商品を誕生させてきた。
デザイナーのほか、あまり知られていない人形の顔を「魔改造」する仕事も、人形ファンの間では大人気となっている。四川省成都市でその仕事をしている黄婷さんは、電動彫刻刀を使って、普通の人形の顔を、世界に一つだけのアート作品に「魔改造」していた。
人形の顔の「魔改造」とは、既存の人形やぬいぐるみを解体し、再構築などの専門技術を使って、人形に二次創作や個性的な改造を行う職業だ。黄さんはソーシャルメディアに投稿した人形改造チュートリアルが人気を集めたことがきっかけとなり、「魔改造」の依頼が日に日に増えているという。(編集KN)
「人民網日本語版」2025年5月14日
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