中国の出稼ぎ労働者は約3億人、平均年齢43.2歳、女性の割合が上昇

人民網日本語版 2025年05月21日10:48

中国にはどれほどの出稼ぎ労働者がおり、どのような特徴があり、どのような仕事や暮らしをしているのだろうか?中国国家統計局はこのほど「2024年出稼ぎ労働者モニタリング調査報告」(以下、「報告」)を発表した。

「報告」によると、2024年、中国全土の出稼ぎ労働者数は前年比220万人増(0.7%)の2億9973万人だった。全体的に見て、中国の出稼ぎ労働者の数は増加しているものの、増加ペースは鈍化している。データにおける中国全土の出稼ぎ労働者数の増加幅を見ると、2021年は2.4%増、2022年は1.1%増、2023年は0.6%増だった。そして、2024年は0.7%増と、2023年に比べて小幅に上昇したものの、1%を下回っていた。

中国人事科学研究院・人的資源市場・流動管理研究室の副主任で、研究者である呉帥さんは、「近年、中国の経済構造調整や産業高度化が加速し、特に人工知能(AI)の影響を受け、労働力市場の需要構造も変化し続け、労働密集型から技能密集型へと転じている」と分析する。

出稼ぎ労働者にはどのような基本的な特徴があるのか?

女性の出稼ぎ労働者の割合が上昇の一途をたどっている。出稼ぎ労働者の男女比を見ると、男性62.4%、女性37.6%となっており、女性の割合は0.3ポイント上昇した。また出稼ぎ労働者の平均年齢は、43.2歳と、昨年と比べて0.1歳上昇と、やや高まった。

呉副主任は、「労動者の増加という観点から見ると、農村の教育水準が高まるにつれて、農村の住民の教育を受けた年数も全体的に長くなっているのを背景に、労動力市場に流れ込む年齢も高まっている。労動者のストックという観点から見ると、今の出稼ぎ労働者は徐々に、中・高齢者の段階に突入しており、出稼ぎ労働者全体の高齢化が進んでいる」と分析している。

出稼ぎ労働者は主にどのような業界で働き、どれほどの収入を得ているのだろうか?

出稼ぎ労働者が多い主な6業界を見ると、製造業27.9%、建築業14.3%、卸売・小売業13.6%、交通・運輸・倉庫・郵政業7.2%、宿泊・飲食業7.1%、住民サービス・修理・その他のサービス業12.3%となっている。

「報告」によると、第三次産業の出稼ぎ労働者の割合が上昇の一途をたどり、前年比0.8ポイント上昇の54.6%に達したのに対して、第二次産業の割合は、前年比で0.8ポイント下降の44.7%だった。

近年、出稼ぎ労働者が従事している産業を見ると、第三次産業の割合が上昇の一途をたどっているのに対して、第二次産業の割合は下降の一途をたどっていることは、3つの面の変化を反映している。呉副主任によると、まず、産業の構造の変化が挙げられる。近年、中国の経済構造は継続的に最適化され、国民経済における第三次産業の比重が徐々に高まり、出稼ぎ労働者にさらに多くの仕事の機会を提供している。特に、宅配便やデリバリーといった業界が急速に発展し、大量の出稼ぎ労働者がそこに流れ込み、新規出稼ぎ労働者、または転職する出稼ぎ労働者に、新たな働く場を提供している。

次に、製造業のモデル転換・高度化が挙げられる。中国は現在、製造大国から製造強国へと加速度的に成長しており、AI、ロボット、大規模言語モデルなどの応用が進み、第二次産業の労動力に対するニーズが変化し、一部の高齢で、スキルの低い出稼ぎ労働者が、第二次産業から撤退している。

3つ目に、出稼ぎ労働者の仕事に対する見方が変化している。第三次産業で働くためのハードルは比較的低く、働く時間も比較的融通が利き、特に、仕事の環境や自由度に対する要求が高い若い世代が、第三次産業に流れ込み、出稼ぎ労働者の数が増えている。

その他、出稼ぎ労働者の月収も安定して増加している。「報告」によると、出稼ぎ労働者の平均月収は前年比3.8%増の4961元(1元は約20.0円)だった。地域別で見ると、東部、中部、西部、東北エリアで働いている出稼ぎ労働者の平均月収はそれぞれ、5368元、4745元、4541元、4164元と、いずれも増加している。(編集KN)

「人民網日本語版」2025年5月21日

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