中国初の海上CCUSプロジェクトが稼働開始

人民網日本語版 2025年05月23日09:22

中国初の海上二酸化炭素(CO2)回収・利用・貯留(CCUS)プロジェクトが、珠江口盆地の恩平15-1プラットフォームで稼働開始したことが、中国海洋石油集団有限公司(中国海油)への取材で分かった。これは中国の海上CCUS技術分野における重要なブレイクスルーを示している。中央テレビニュースが伝えた。

恩平15-1油田CCUSプロジェクトは、広東省深セン市から南西に約200キロメートル離れており、作業水深は約90メートル。プロジェクトは「回収・精製・加圧・注入」の一連の技術プロセスを通じ、油田開発に伴って発生するCO2を超臨界状態に変換し、1時間当たり8トンの速度で地中1200−1600メートルの油層に注入する。原油採取率を高めるとともに、CO2の永久貯留も実現する。

中国海油深セン分公司恩平油田作業エリアチーフエンジニアの熊書権氏は、「同プロジェクトの稼働開始は、中国の海上CCUS設備技術の全面的な高度化を実現した。今後10年で累計100万トン以上のCO2を大規模に注入し、20万トンの原油増産を実現する見込みだ」と述べた。

プロジェクト所在地の恩平15-1プラットフォームは、アジア最大の海上原油掘削プラットフォームだ。油井掘削、無人化遠隔操作、自家発電・電力網構築、石油・ガス・水の統合処理などの多機能モジュールを備える。CO2貯留と原油の回収増進の二重目的を達成するため、プラットフォームはCO2圧縮機、ガス処理、冷却システムなどの重要設備を新たに導入している。中国初の海上CCUS設備システムが構築され、設備の国産化率は100%に達している。

中国、海上CO2貯留・利用の推進を加速

海洋はCO2貯留の「天然の宝庫」として、人口密集地から遠く離れ、貯留容量が大きいことから、世界のCCUS技術の「ブルーオーシャン」になっている。中国では近年CCUS技術が急速に発展し、一連のモデルプロジェクトが次々と実施され、試験段階から 大規模応用へと進展している。

渤海の渤中26-6油田回収・利用モデルプロジェクトが今年2月に稼働開始した。ライフサイクル全体で150万トンのCO2を貯蔵する見込みだ。珠江口の白雲ガス田群におけるガス田7カ所のCO2回収プロジェクトが昨年8月、広東省珠海市で稼働開始した。食品レベル液体二酸化炭素の年間生産量は20万トンで、資源のリサイクルを実現。このほか、恵州32-5プラットフォームの随伴ガス回収・脱炭素プロジェクトは毎年700万立方メートル以上の随伴ガスを回収できる。

中国海油深セン分公司恩平油田作業エリアの油層マネージャーの程佳氏は、「世界には現在65のCCUS商業化プロジェクトがあるが、その大半が陸上に集中し、海上プロジェクトはごくわずかだ。中国海油は現在4つのCCS(CO2回収・貯留)およびCCUSプロジェクトを完成させている。また渤中19-6ガス田を中心とする北方CO2原油採取センターと、南中国海1兆立方メートル大規模ガスエリアによる南方CO2ガス採取センターの建設を計画中だ」と述べた。

中国の海上CO2貯留のポテンシャルは2兆5800億トンに達し、大規模応用の大きな可能性を秘めている。技術の進化と政策支援により、中国の海上CCUS産業は単一の実証から集約型発展へと移行している。中国海油は現在、広東省恵州市で中国初の1000万トンクラスCO2回収・貯留クラスタープロジェクトの建設を開始した。将来的には大亜湾エリアの各企業が排出するCO2を回収し、珠江口盆地海域に輸送・貯留することにより、国際的な競争力を持つ海上CCUS産業チェーンを構築する。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年5月23日

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