陝西省大茘県、初のスマート冬棗収穫ロボットの実地試験を実施

人民網日本語版 2025年07月10日13:29

陝西省渭南市大茘県両宜鎮にある緑豊源家庭農場の冬棗ハウス内では、研究開発スタッフが冬棗収穫ロボットを操作していた。ロボットはスマート認識技術により成熟した冬棗を見つけると、ロボットアームを滑らかに伸ばし、実を正確につかんで素早く収穫。その一連の動作は非常にスムーズで熟練したように見えた。中国新聞網が伝えた。

最近、深セン藍侠ロボット有限公司と哈爾浜(ハルビン)工業大学(深セン)が共同開発した中国初の「藍侠」スマート冬棗収穫ロボットが、陝西省大茘県で実地試験を行い、期待された効果を達成した。これは、科学技術成果を農業の新たな質の生産力へと転換されることを推進し、同県の冬棗産業がより質が高く、より現代的な方向へと発展するのを後押しすることになる。

哈爾浜工業大学(深セン)の王勃然准教授は、「今回の試験では主に2点に注目している。1つ目は異なる光環境、葉による遮蔽、複雑な背景下での果実認識精度。2つ目は、異なる路面条件下でのロボットの自律的な移動計画能力など一連の重要技術だ」と説明した。

テスト中のスマート冬棗収穫ロボット。撮影・趙卓昱

テスト中のスマート冬棗収穫ロボット。撮影・趙卓昱

全国人民代表大会代表で大茘県東城街道暢家村の党総支部書記の馬紅麗氏は、「今年の全国両会(全国人民代表大会と全国政治協商会議)ではAI技術が注目を集めたが、AI技術をロボットに応用して、大茘の冬棗収穫という重労働を解決できないか」と提案。これを受け、深セン藍侠ロボット有限公司と哈爾浜工業大学が半年以上かけて共同開発を進め、ついに第1号機が実地試験に至ったことに、馬氏は深い感慨と誇りを感じていると語った。

また、この近くの蘇村鎮に住む李小亮さんは現場に駆けつけ、「まさかロボットが棗園に入って棗を摘むとは! 実際に見ると本当に驚きだ。科学技術の力はすごい。私の地域では今、エゾキスゲ(黄花菜)産業が発展しているが、もし棗がロボットで収穫できるなら、エゾキスゲだって可能なはずだ」と語った。

冬棗収穫ロボットのテスト現場。撮影・趙卓昱

冬棗収穫ロボットのテスト現場。撮影・趙卓昱

「藍侠」ロボットは、マルチスペクトルイメージング技術と独自に訓練されたAIビジョンモデルを活用しており、枝葉に隠れた果実を複雑な背景の中から正確に識別する能力を備えている。生体模倣型の柔軟な多指グリッパーは果実の形や大きさに適応し、多自由度の協調型ロボットアームと独自のハンド・アイ協調アルゴリズムによって、目標果実に柔軟かつ正確に接近できる。

試験の結果、1個の果実を収穫するのに約8秒、熟した果実の把持成功率は約85%、果実の損傷率は8%未満だった。また、独自設計の多地形対応シャーシ車両は、1〜2畝(うね)の畝間を自在に移動でき、大茘県の冬棗農園の精密管理に非常に適しているという。

王准教授はさらに、「現在、第2世代試作機の改良を進めており、今後2〜3カ月で環境適応性の改善を目指す。第3世代の開発も間もなく始まり、6〜8カ月以内の完成を予定している。現在は片アームで作業しているが、将来的には複数のアームとカメラを搭載したロボットへと進化させ、収穫効率を大幅に向上させる計画だ。また、製品コストの削減にも取り組んでおり、最終的には農家が実際に導入しやすく、役に立つ製品にしていきたい」と展望を語った。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年7月10日

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