マイクロメートルの世界で大活躍するロボット
研究開発者は顕微鏡の前で息を凝らしながら、2本のロボットアームを操作し、髪の毛ほどの細い模擬血管に「糸を通す」作業を行っていた。ロボットアームの移動、接続、縫合に伴い、切れた模擬血管が「シームレスに」につながれた。このほど、杭州銭塘スマートシティに位置する杭州迪視医療生物科技有限公司(以下「迪視医療」)実験室で、顕微外科手術支援ロボットが参加する模擬手術が行われた。人民網が伝えた。
迪視医療の創業者である崔迪氏は、「模擬血管の太さは0.3ミリメートルで、縫合に使用する糸は10マイクロメートルしかない。顕微外科手術支援ロボットが処理するのはいずれもミリメートルレベル、さらにはマイクロメートルレベルの外科手術だ。ロボットは人の手の震えを除去し、医師の高度な超顕微鏡レベルの精密かつ巧妙な操作を支援する」と説明した。
実験室の反対側に視線を移すと、壁面には3種類のマイクロニードルの模型が掛けられていた。これらの特殊な手術針はロボットのアームと完璧に連動し、マイクロメートル単位の高精度操作を実現する。模擬手術の際には、研究開発者がロボット操作卓の横に座り、右足でペダルを踏みながら手元のレバーを軽く動かすだけで、精巧なロボットアームはその動きに正確に追従した。傍らの大型スクリーンには針の注射位置が正確に表示されていた。
アジア初となる眼科ロボット手術を執刀したのは、浙江省人民病院眼科センターの陳亦棋常務副センター長だ。陳氏は手術中にロボットを操作し、外径100マイクロメートルのマイクロ注射針を正確に患者の病変部位に合わせ、3分間以内に均等な速度で40マイクログラムの薬を網膜下腔に注射した。
陳氏によると、眼科手術支援ロボットは精密な組織や複雑な手術の中で安定性・安全性・精細さ・可視性を高める操作を実現し、医師が術中の判断に集中できるよう支援してくれる。陳氏は、「眼底外科手術では、10マイクロメートル以内の精度が求められるが、人間の手には先天的に約100マイクロメートルの生理的震えがある。術中にはこの震えを克服し、最適な穿刺位置を見極めるために、瞬時の正確な判断が必要だ」と述べた。
陳氏は、「眼科ロボットは将来的に、白内障や緑内障などより多くの精密な眼科手術で医師をサポートするようになり、眼科の遺伝子治療薬や幹細胞などの新しい治療法にも安全で効率的な投与手段を提供できるようになる」との見方を示した。
迪視医療を含め、銭塘スマートシティでは近年、杭州のデジタル資源の優位性と製造業の基盤を生かし、ロボット産業の発展に注力し、ロボットの研究開発・イノベーションと産業化を推進している。この区域には現在、特徴的なロボットの本体、中核部品、ソフトウェアシステムなどを手掛ける30社以上のロボット産業チェーン企業が集積。今年のロボット産業の総生産高は10億元(1元は約20.1円)を突破する見込みだ。(編集YF)
「人民網日本語版」2025年6月11日
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