0.1ミリの精度で飛行機の「皮膚」を「ピーリング」する技術とは?

人民網日本語版 2025年08月19日13:38

飛行機の「皮膚」はどれほどの厚さだろうか? 答えは、最も薄い部分でわずか1ミリ余りだ。人民網が伝えた。

フライスカッターとサポート装置が機体の外板の同じ一点を両側から正確に狙うと、瞬く間に銀色の切りくずが水しぶきとともに舞い上がり、外板に鮮明な模様が浮かび上がり、正確な厚さに仕上がる。先日、四川省成都市新都区にある成都辰飛智匠科技有限公司の工場で、筆者は飛行機外板の製造現場を目にした。それはまるで飛行機の「皮膚」に0.1ミリ単位の精密な「ピーリング」を施すような光景だった。

飛行機の外板。撮影・王波

飛行機の外板。撮影・王波

同社の石璟社長は、「外板とは、飛行機の『骨格』を覆う金属の殻で、飛行機の『皮膚』に当たるものだ。外板の厚さは通常3ミリから6ミリ、最も薄い部分は1ミリ余りにすぎない。一見、普通の金属板と変わらないが、強度・精度・重量・荷重に極めて厳しい要求が課される。当社の仕事は、原材料を研磨・彫刻などで加工し、所定の厚さと模様を持つ外板を仕上げることだ」と語る。

1枚の『皮膚』の大きさはどれほどか?

石氏は、「客室ドアは小さい方で、後部胴体の外板はもっと大きい。薄く、大きく、しかも高強度――これが外板の特徴であり、加工上の最大の難点でもある。刃物で力を加えると、荷重点の周囲が変形しやすく、精度を正確にコントロールできなくなる」と説明。

石氏はさらに、「そのため、従来は外板加工に化学フライス加工を多用してきた。化学腐食作用で金属表面を除去することで、力による変形を避けていた。しかし化学フライスは時間がかかり、工程も複雑で、使用済みの廃液処理という環境問題も抱える。また、精度も0.3ミリ程度にとどまっていた」と言う。

2022年、同社は13億8千万元(1元は約20.6円)を投資して上海拓璞のミラーフライス加工技術を導入し、4台のミラーフライス加工設備を備えた生産ラインを構築。当時中国最大規模のミラーフライス加工クラスターを形成し、大型外板のミラーフライス加工技術のライン生産と実用化に成功した。

石氏は、「ミラーフライス加工とは、外板の両側に同時にフライスカッター装置とサポート装置を当てる加工方法だ。両装置は『針』と『指ぬき』のような関係で、この仕組みにより力による変形で精度が落ちるという問題を解決できる。従来の化学フライス加工に比べ、ミラーフライス加工は外板を一度で成形でき、工程を省き、時間を大幅に節約できる。デジタル技術によって、加工精度は0.1ミリレベルにまで高まり、物理加工方式であるため環境負荷も少ない」と述べた。

0.3ミリから0.1ミリへ――この0.2ミリの精度差にはどんな意味があるのか?

石氏は、「機体全体の外板は数百から数千平方メートルに及ぶ。見た目には0.2ミリの差にすぎないが、1機の飛行機全体で換算すると100キロ超の重量差になることもある。グラム単位で重量を管理する航空機にとって、これは小さな数字ではない。現在、ミラーフライス加工は柔軟で薄い外板部品の精密製造に対応する最新技術であり、世界でもこの装置を生産できる企業はわずか3社、その一つが中国のものだ」と語る。

石氏は最後に、「国産大型旅客機の量産時代が到来しており、当社は国産機胴体外板をターゲットに、現段階でC919をはじめとする旅客機の量産需要に応えられる。すでに当社の国産旅客機用外板初号品が納入され、検収に合格した」と説明。

四川省の経済業績によれば、今年上半期、航空宇宙機器製造業は14.7%の成長を遂げ、力強い成長の原動力を示している。(編集ES)

「人民網日本語版」2025年8月19日

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