中国北部の太陽光発電版「万里の長城」を守るスマート運用・保守
世界初の1000万キロワット(kW)級新エネルギー拠点である内蒙古(内モンゴル)庫布斉(クブチ)砂漠鄂爾多斯(オルドス)中北部新エネルギー拠点に立つと、目の前には息をのむ光景が広がっていた。100万枚もの青い太陽光パネルが金色の砂海に波打つように連なり、一面に広がる「青の海」を形づくっている。幅約5キロメートルにも及ぶこの太陽光発電版「万里の長城」砂漠化防止帯は、黄河と庫布斉砂漠を隔てるように築かれた、堅固な緑の防壁となっている。中国新聞網が伝えた。

内蒙古・庫布斉砂漠鄂爾多斯中北部新エネルギー拠点。(画像提供:主催者)
この太陽光発電版「万里の長城」の背後には、厳しい運用・保守の課題が存在する。その解決に役立っているのが、ドローンによるスマート点検だ。三峡蒙能科技イノベーション・デジタル化部の劉暢氏は、「ドローンによるスマート点検は人手を大幅に削減し、点検効率を大きく向上させただけでなく、故障検出の精度も確保しており、異常識別の正確率は95%を超える」と語る。
劉氏は、「従来の人手による点検方式では、2組(1組2人)のチームが必要で、1日当たり手持ち赤外線装置を用いても最大で約1000枚の太陽光モジュールしか点検できなかった。現在はドローンの自律点検を導入したことで、先導光蓄電所を例にすると、1日平均約3万枚のモジュールを点検でき、全体の点検を完了するまで36日。効率は人手より26倍以上に向上した」と説明。
この劇的な効率向上を支えているのが、ドローンに搭載された高精細の可視光カメラと赤外線サーマルイメージングのデュアルモードだ。大疆(DJI)産業アプリケーション部のエネルギー事業担当・于洋洋氏は、「太陽光モジュールは基本的に一定の動作温度を保っており、温度が異常に上昇した場合は、過負荷やバイパスダイオードの損傷などの不具合が起きている可能性がある。ドローンは赤外線サーモグラフィカメラを用いて、高空から色温度の差異でモジュール表面の温度分布を直感的に可視化し、ホットスポットなどの異常を正確に検出できる」と説明。
さらに、ドローン点検は上空から太陽光パネルを全方位・高速・死角なしで点検でき、地形の制約を受けない。砂丘や水面といった複雑な地形に設置されたパネルでも、歩行による点検が困難な問題を解決する。現在では、ドローンによるスマート点検が集電線路や昇圧変電所などの設備の日常点検にも対応している。
現在、DJIのドローン運用ステーションはすでに1000カ所以上の新エネルギー発電所で導入されており、国内の新エネルギー施設におけるドローン点検ソリューションの普及率は50%に達している。吹雪、砂塵、凍雨、大風といった極端気象や高原・盆地などの特殊な地理的条件にも対応している。(編集YF)
「人民網日本語版」2025年11月13日
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