青海省初の「ゼロカーボン村」を訪ねて

人民網日本語版 2025年07月28日13:42

青海省互助土族自治県五十鎮班彦村を訪れると、目に飛び込んできたのは、青い鱗のように輝く一面の太陽光パネル。村の入り口から山のふもとまで続くソーラー街灯、村史館の隣にある「太陽光発電・蓄電・充電」一体型の駐車場などが特に目を引いた……。青海省初の「ゼロカーボン村」を取材し、太陽の光を「金」に変える取り組みを探った。

7月21日に撮影された青海省互助土族自治県五十鎮班彦村の屋根に設置された分散型太陽光発電設備。(画像提供:国網海東電力供給公司)

7月21日に撮影された青海省互助土族自治県五十鎮班彦村の屋根に設置された分散型太陽光発電設備。(画像提供:国網海東電力供給公司)

「班彦(バンヤン)」とは、土(トゥ)族の言葉で「豊かで幸せな場所」という意味だ。しかし、その名とは裏腹に、かつての班彦村は山の中腹に位置する全国重点貧困村で、住民は長年にわたり、交通の不便さ、飲用水の不足、就職の難しさなどに悩まされていた。2017年3月、129世帯・484人が他地域への移住を完了し、同年末には全世帯が貧困脱却を果たした。

移住はあくまで第一歩。住民が移り住み、定着し、豊かになるためには、産業の発展が最優先課題だった。互助県は専門家を派遣し、班彦村に対して「診断」を実施した上で、豊富な太陽光資源と地形条件を生かし、太陽光による持続可能な開発モデルを構築することが決定された。

2017年、班彦村に2メガワット(MW)の太陽光発電所が完成・稼働開始し、同年末には率先して電力網に接続された。その後も、屋根や空き地といった未利用空間のクリーンエネルギー生産のポテンシャルを継続的に掘り起こし、分散型太陽光発電の規模拡大や「太陽光発電・蓄電・充電」一体型駐車場、利用者側の蓄電設備などの整備を通じて、2023年には持続可能なグリーン電力を供給できる系統連系型マイクログリッドが構築され、村全体でグリーン電力の「自家消費、余剰送電」の仕組みを実現した。

7月21日に撮影された班彦村の「太陽光発電・蓄電・充電」一体型駐車場(画像提供:国網海東電力供給公司)

7月21日に撮影された班彦村の「太陽光発電・蓄電・充電」一体型駐車場(画像提供:国網海東電力供給公司)

太陽光発電と植林・緑化事業を同時に推進した結果、班彦村は青海省で初めて、権威ある機関により「カーボンニュートラル達成」が認定された「ゼロカーボン村」となった。統計によると、2024年、村で消費されたグリーン電力は79万キロワット時(kWh)に達し、石炭使用量に換算すると97トンの削減、二酸化炭素排出量では258トンの削減に相当する。

「今では、どの家の屋根にも太陽光パネルが設置されていて、料理、暖房、移動もすべてグリーン電力でまかなっている。余剰電力の売却によって、1世帯当たり年間2500元(1元は約20.6円)の分配金も得られるのだ」と、村の解説員である郭万倩さんは説明する。

「薪から電気へ」の転換や、太陽光発電・蓄電一体型汚水処理などのプロジェクトが実施されたことで、薪ストーブから電気暖房に、乾式トイレは水洗トイレに変わり、村民の衛生環境は大きく改善された。観光業の発展を追い風に、村民の張卓麻什姐さんは空き部屋を民宿に改装。「数日前には西寧からの大学生13人を10日間受け入れ、5000元の収入を得た」と笑顔で語った。

村の東側にある伝統酒造所では、電気蒸し器が正確な温度制御を行い、高原産の青稞(ハダカムギ)酒が芳醇な香りを放っていた。2023年、設備を電化することで生産効率が大幅に向上し、年間生産額は180万元に達している。

エコ農園の点滴灌漑や換気設備、学校の多機能電子図書室、村の入り口にある新エネルギー車の充電スタンドなど、村の至るところでグリーン電力が活用されている。技術イノベーションと産業イノベーション、政策支援と村民の努力が相まって、班彦村は地域資源を活かし、多様な産業の連携発展によって、豊かさへの道を切り開いている。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年7月28日

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