文化観光産業が「風景を見る」から「体験重視」へシフト、観光地のNPCも主役に

人民網日本語版 2026年06月01日10:16

江蘇省蘇州市の「太湖姑蘇武侠会」では、仲人の「王婆」による縁結びイベントが会場全体を沸かせ、江西省の婺女洲観光地の街角では「お菓子しか受け取らない」NPCが笑顔で街の温もりを伝えている。河北省唐山市の河頭老街では「李白」が観光客と詩を吟じ、千年以上昔の文人の風雅さを再現している。連休のたびに、観光地のNPCがSNS上で話題になり、文化観光市場の目を引く風景となっている。中国経済網が伝えた。

NPCとは、元々ゲーム用語の「ノンプレイヤーキャラクター」を指す。文化観光分野では、特定の文化テーマに基づき、ロールプレイ、インタラクティブストーリー、スキルパフォーマンスなどを通じて観光客を案内し、没入型体験を高める専門スタッフを指す。中国情報通信研究院の発表した「中国体験経済発展報告(2025)」によると、2025年11月末時点で、中国の体験経済の市場規模は前年同期比22.6%増の18兆4000億元(1元は約23.5円)に達した。観光客のニーズが「風景を見る」から「体験重視」へと移行する中、NPCは単なるマーケティング上の話題作りから、文化観光体験を再構築し、産業の高度化を牽引する重要な力へと変わりつつある。

浙江省嘉興市にある濮院時尚古鎮の取り組みは、その代表例だ。同古鎮のブランドディレクターである周建氏によると、「観光地の運営初期は『宋王朝の大道芸人』などのNPCを配置して街の雰囲気を盛り上げていたが、2025年秋からはNPCのインタラクティブシステムを構築した。その核心は、『参加でき、交流でき、記憶に残る』設計を通じて没入型の体験感を高めることにある」ということで、NPCの衣装やメイクは宋代の制度に厳格に基づき再現され、歴史的な質感を体現している。また、「瓦舍(大衆娯楽施設)」に囲碁や講談鑑賞などのアクティビティを組み込むなど、宋代の生活シーンをインタラクティブなスポットに深く融合させている。これらすべての設計は「交子(宋代の紙幣)」ミッションシステムによって結び付けられ、完全なストーリー動線を形成することで、観光客を傍観者から参加者へと変えている。

河南省開封市の万歳山武侠城は、このNPCモデルを極限まで発展させ、1000人以上のNPCによる「大宋武侠城」を構築している。「銀票(古代の紙幣)」ミッションチェーンを通じて、毎日3000回を超えるインタラクティブ演出を繋いでいる。2025年、同観光地の総合営業収入は前年同期比136.5%増の12億7000万元に達した。

河南省開封市万歳山武侠城のNPC「王婆」

河南省開封市万歳山武侠城のNPC「王婆」

NPCのもたらすトラフィック効果と商業価値は急速に顕在化している。今年に入り、全国各地の観光地で「人材争奪戦」が静かに繰り広げられている。山東省の泰山石敢当観光地は「労働節(メーデー、5月1日)」連休に備えて500人のNPCを急募。陝西省西安市の周至水街・煙火巷子にいたっては月給最高5万元の「NPCトップ集団」を募集した。江蘇省宿遷市の項王故里では「項羽」役に最高1900元となる「身長×10」の日給で募集した。

河北省

河北省唐山市河頭老街のNPC「李白」

従事者層の拡大に伴い、観光地NPCの職業化としての発展に業界内で関心が高まっている。今年の全国両会(全国人民代表大会・中国人民政治協商会議全国委員会)会期中には、ある全人代代表から「文化観光没入型インタラクティブ体験師」またはそれに類する名称を「国家職業分類大典」に組み入れることを検討し、観光地NPCを典型的ケースとして、「新雇用形態」職業の標準認定の道筋を模索すべきだという提案がなされた。

優れたNPC従事者は、単なる役者ではなく、文化の伝播者でもある。周建氏は、「NPCの募集と育成において、我々は3つの能力、すなわち『文化理解力』『即興インタラクション能力』『共感力』の育成を重視している。研修内容は歴史文化、シチュエーション演技、安全動線、緊急措置など多岐にわたり、現場に配置される前には試験に合格する必要がある」としており、基礎的な役柄からスタートし、段階的にストーリーの司会進行役やエリアの運営責任者へと成長できるよう、NPCのための明確なキャリアパスも用意している。

长春动植物公园

長春動植物公園のNPC「雪餅猴」

山東観光職業学院の閆向軍・党委員会書記は、従事者自身が歴史文化の素養、即興の演技スキル、感情コントロール能力などを継続的に向上させる必要があると指摘する。NPCは将来的に「運営責任者」の方向へ発展する可能性がある。すなわち郷土料理や伝統工芸など特定分野の文化体験の「設計者」や「案内人」となり、様々なニーズを持つ観光客に対して、深みのある差別化された没入型体験を提供するようになるだろう。(編集NA)

「人民網日本語版」2026年6月1日

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