中国のAIアプリケーションがASEAN市場に進出

人民網日本語版 2026年10月14日10:29

スマートフォンでミニプログラムを開き、目当ての農地区画を指定して「私の農場はブルーベリーの栽培に適しているだろうか」といったプロンプトを入力すると、人工知能(AI)が土地の条件を踏まえ、詳細な土地分析レポートを作成してくれる。新華社が伝えた。

これは、捷佳潤科技集団股份有限公司(以下、捷佳潤)が開発した農業向け大規模言語モデル「土諦AI」の機能の一つだ。10月12日、「活力中国調査行」取材団と共に、広西壮(チワン)族自治区南寧市にある中国・ASEAN人工知能応用協力センターを取材したところ、同社の陳秀娟企業管理センターディレクターが、「この『スマートな参謀役』が農家に対し、農業生産や販売などに関する参考情報を提供できる」と説明した。

農家にアドバイスを提供するだけでなく、AIは農地の「巡回診断」を行うことも可能だ。陳氏によると、同社が開発したAI農園巡回システムは、気象観測所、害虫モニタリング装置、土壌監視機器などと接続して環境データをリアルタイムで収集する。さらに、AI画像認識技術を活用して作物の生育状況を監視し、病害虫の発生リスクを識別することで、農地管理の精度を高めている。

捷佳潤のスマート農業技術は、ASEAN諸国の農地にも導入されつつある。カンボジアのコンポンチュナン州では、スマート農業クラウドプラットフォームが「AI管理人」として機能し、野菜の温室に設置されたスプリンクラー、点滴灌漑設備、気象観測所などの機器を的確に制御している。ラオスのパクセーでは、267ヘクタールを超えるバナナ農園で、スマート化システムを活用したきめ細かな管理を実現している。

捷佳潤の張興傑副総経理は、「当社は農業向けデジタル・ブレインや『土諦AI』などを基盤として、中国・ASEAN越境農業スマート意思決定プラットフォームを構築した。現在、中国とASEANの13万3000ヘクタールを超える農場にサービスを提供しており、労働力を20%以上節約できるほか、水や肥料の効率的な利用も促進している」とした。

また、広西医科大学附属口腔病院では、AIがASEANとの医学交流や人材育成に活用されている。同院の鄺海党委員会副書記によると、同院が主導して開発した「口腔医学ASEAN多言語AI同時通訳システム」は、東南アジアの10数種類の言語に対応し、リアルタイムで相互通訳を行うことができる。また、「AI+VR(仮想現実)」による現実・仮想融合型の診療シミュレーションシステムを活用すれば、ASEAN諸国の歯科医師は国境を越えて移動することなく、VR機器を通じて臨床操作シーンを模擬体験できるという。

こうしたシナリオの実現には、演算能力の支えが欠かせない。南寧市の五象雲谷AI演算産業パークでは、潤建股份有限公司(以下、潤建)が構築したトークン工場にサーバーがずらりと並び、昼夜を問わず稼働している。1時間当たりの最大生産能力は2000億トークンに達する。

潤建の黄海江トークン事業群常務副総裁は、「演算能力をパッケージ化し、水道や電気のように必要なときに必要なだけ使える標準化されたトークンサービスとして提供している。必要に応じて利用し、使用量に応じて課金し、実際の利用実績に基づいて精算する仕組みだ」と説明。

同社によると、これまでにASEAN諸国で500件を超える現地向けプロジェクトを受注し、演算センターやデータセンター関連のプロジェクトを約80件引き渡している。

2026年9月18日に南寧国際会展センターで、多言語対応のAI透明ディスプレーについて説明を受ける来場者(撮影・曹禕銘)。

2026年9月18日に南寧国際会展センターで、多言語対応のAI透明ディスプレーについて説明を受ける来場者(撮影・曹禕銘)。

ASEAN市場でAIへの需要が拡大し続けるなか、中国企業の進出は、すでに単一製品の輸出にとどまらなくなっている。現地の利用場面やニーズに合わせ、技術ソリューションとサービスを一貫して提供する能力をアピールする企業が増えている。その背景には、「北京・上海・広州での研究開発、広西での統合、ASEANでの応用」という発展モデルが徐々に明確になってきたことがある。広西は現在、技術、企業、人的資源の集積を加速させ、国内のイノベーション成果とASEANの産業ニーズとの連携を推進している。(編集KN)

「人民網日本語版」2026年10月14日

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