珠江両岸で羽ばたく「低空経済」

人民網日本語版 2025年07月07日13:50

広東省深セン市竜崗区の屋外テスト場では、60リットルの水タンクを備えた農業用ドローンがゆっくりと上昇し、所定の高度に達すると旋回しながら芝生に向けて散布作業を行っていた。新華社が伝えた。

この実演に使用されていた農業用ドローン「Q100」は、深セン連合飛機科技有限公司が開発したもので、すでに中国の複数の地域で実用化されており、東南アジアなど海外市場にも輸出されている。

記者たちは、ドローンの実演を見て、テクノロジーの進化が生産と生活をいかに便利にしているかを実感していた。

農業用ドローン「Q100」のデモ飛行。撮影・宋晨

農業用ドローン「Q100」のデモ飛行。撮影・宋晨

深セン連合飛機科技有限公司の李暁亮社長は、「スマートフォンが使える人なら、最長4時間の訓練でこのドローンを操作できるようになる。黒竜江省、安徽省、四川省などの農村では、このタイプのドローンが農家の収入増加を支える生産ツールとなっている」と述べた。

深セン連合飛機科技有限公司の生産工場で組み立てテストを行う従業員。撮影・宋晨

深セン連合飛機科技有限公司の生産工場で組み立てテストを行う従業員。撮影・宋晨

農業分野での応用が日々進化するだけでなく、「低空+」によって各業界をエンパワーメントする波が珠江両岸に押し寄せている。データによれば、広東省では累計700本以上のドローン航路が開設されており、年間約80万回のドローン物流配送が行われている。同時に、全省で30分以内の航空医療救助ネットワークの構築も加速している。「低空経済」(低空域飛行活動による経済形態)は都市ガバナンス、航空交通、緊急救援、低空観光など様々な分野でその存在感を高めている。

広東空天科技研究院の研究開発工場を訪れると、個人用飛行ビークルが目を引いた。

プロジェクト技術責任者の陳旭智氏は、「この装置はベクトルターボジェットエンジンのアレイを動力源とし、操作は可視化されたインターフェースを通じて行う。一般ユーザーでも短期間の訓練で操縦できる」と説明した。

広東空天科技研究院が開発した個人用飛行ビークルの模型。撮影・孫文豪

広東空天科技研究院が開発した個人用飛行ビークルの模型。撮影・孫文豪

従来の航空機における安定性不足という課題に対し、同研究チームは「マルチエンジンベクトルアレイ+スマート飛行制御」という独自のソリューションを打ち出した。分散型エンジン配置が推力ベクトルアレイを形成し、高精度センサーとアルゴリズムで構成された「デジタルブレイン」と連携することで、機体の姿勢をリアルタイムで感知・調整し、複雑な気流下でも安定した飛行が可能になる。

広東空天科技研究院の総組立工場では、風洞と風壁の利点を兼ね備えた複合型風洞試験プラットフォームが試運転に入っている。プロジェクト責任者によると、低空飛行体の試験ニーズに対応するため、研究開発チームは「横8縦6」の合計48台の送風機を設置し、珠江新城の超高層ビル群で発生する突発的な風速変化や旋回風など、極端な状況を再現し、ドローンなどに実際に近いテスト環境を提供できる。

これは粤港澳大湾区(広州、仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、澳門<マカオ>両特別行政区によって構成される都市クラスター)初の4.5メートルクラスの風洞であり、華南地域では最大の生産型風洞でもあり、地域における低空飛行体の空力性能検証の空白を埋める存在となる。広東空天科技研究院の首席科学者黎作武氏は、「この装置は第3四半期に本格的な運用を開始する。これにより、企業が従来2年かけていた初期テストを半年で完了できる」と述べた。

イノベーションによって産業発展をエンパワーメントし、産業発展によってイノベーションのニーズを推進することで、広東省ではすでに比較的整った低空経済の産業チェーンが形成されている。広東省発展・改革委員会の白玉二級巡視員は、「全省の低空経済規模は1000億元を超え、関連企業は1万5000社以上に上り、素材開発、部品製造、完成機生産、運営サービス、産業金融など全プロセスをカバーする産業エコシステムが日増しに整備されている」と説明した。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年7月7日

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