真実の歴史は時を超える力を持つ
映画「南京照相館(Dead To Rights)」がこのほど、中国全土で公開され、熱烈な反響を呼んでいる。同作品は、南京大虐殺の歴史を題材とした新たな映画であり、夏季興行期における戦争を題材とした中国映画への関心を牽引している。(文:朱成山・常州大学教授、中国抗日戦争史学会元副会長、中国侵略日本軍南京大虐殺遭難同胞紀念館元館長。人民日報掲載)
真実の歴史は、時空を超える生命力、貫通力、影響力を備えている。中国侵略日本軍の南京占領時、南京の写真館「華東照相館」で見習いをしていた15歳の羅瑾は、日本軍将校の持ち込んだフィルムを現像した際、それらがこともあろうに日本軍が中国人を殺戮し、強姦し、危害を加えている場面であることに気づいた。羅瑾は命の危険を顧みず、それらのフィルムから数十枚を密かに追加で焼き増しし、うち16枚を一冊のアルバムにまとめ、罪証として保管した。このアルバムは多くの人の手を経た末に南京の青年・呉旋の手に渡り、彼もまた命を賭してそれを守り続けた。そして最終的に、このアルバムは南京大虐殺の主犯・谷寿夫を裁く際の証拠「京字第一号」となった。真実の歴史は永遠に覆されることはない。日本の右翼勢力や歴史虚無主義者がいかに力を尽くして騒ぎ立て、確定判決を覆そうとしても、それは徒労に終わる。
歴史は最良の教科書であり、最良の警鐘でもある。南京大虐殺は、中国人民抗日戦争の歴史における惨劇であり、国際社会が広く認めた歴史的事実である。抗日戦争において、中国の軍民は計3500万人以上が死傷した。1937年当時の物価・為替水準に基づき計算すれば、中国の直接的経済損失は1000億ドル(1ドルは約147.6円)以上、間接的経済損失は5000億ドル以上にのぼる。中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利80周年を記念するにあたり、近代以降の外敵の侵入に対する中国人民の抵抗の中で、中国人民抗日戦争が最も長期にわたり、最も規模が大きく、最も犠牲の多い民族解放闘争であったということを十分に認識しなければならない。この偉大な勝利は、中国人民の勝利であり、世界の人々の勝利でもある。
正しい第二次世界大戦史観は、現代と未来における世界平和構築の礎である。中国は長期にわたる抗日戦争によって、日本軍を戦略的受動性の深淵へと引きずり込み、進攻の歩みを牽制し、遅らせ、ドイツ・イタリアのファシストと共に東西両面から侵攻して世界覇権を唱えるという日本の戦略的企みを粉砕した。中国の軍民は世界反ファシズム戦争における東方の主戦場を切り開き、世界反ファシズム戦争の勝利と人類の正義のために、代替不能な貢献を果たしたのである。
百年間なかった大きな変化が加速し、覇権主義、パワーポリティクス、冷戦思考が復活し、経済的覇権が厳しさを増す今日の世界において、中国人民は愛国・団結・自強の重要性を一層感じている。世界の永続的な平和と安寧のために、我々は真摯かつ謙虚に歴史から学び、その知恵を汲み取り、教訓を総括して、真実の歴史を人類の未来を明るく照らす道しるべとしなければならない。(編集NA)
「人民網日本語版」2025年8月6日
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