北京市人民代表大会は21日午前、「単独二孩(夫婦の一方が一人っ子であれば2人目の出産が認められる)」政策を議決した。3歳の双子の母親である郭さん(60)の心情は複雑だ。一人っ子を失い、高齢出産という苦しみを経験した郭さんは、「新政策により、多くの人が自分と同じ道を歩まないで済む」と語る。
郭さんは30代のとき、初めの夫と離婚した。写真の中の2人の娘・劉令暉さんは眉目秀麗で、やや痩せ気味なところが郭さんに少し似ていた。
46歳で再婚した郭さんは、平凡ながらも幸せな生活を送っていた。もう1人子供を産むことは考えていなかった。
しかし、2005年の冬、娘の劉令暉さんが交通事故で亡くなった。辛く苦しい毎日を過ごした後、心に空いた穴と孤独に耐えられなくなった郭さんは、55歳の時、貯金の6万元(約100万円)で胚移植手術を受け、男女の双子の赤ちゃんを産んだ。
平安を祈り、命名の専門家に依頼して男の子を任嘉彬、女の子を任嘉儀と名づけた。2人はすでに3歳になり、元気いっぱいに健康に育っている。
再び母となった郭さんだが、肉体的に大変なのはもちろん、双子を育てるには経済的なプレッシャーも大きい。さらに2013年7月には夫が脳梗塞で入院し、子育ての任務が全て郭さんの身にのしかかった。
家族を養うため、郭さんは若い頃の経験を活かし、小企業10社あまりの会計士を掛け持ちし、ある程度の収入は得られるようになった。さらに月1千元(約1万7千円)あまりの退職年金を加えれば、一家は何とか生活できる。しかし、生活費を切り詰めるため、2人の子供を月額300元(約5千円)の個人経営の幼稚園に送ることしかできないという。
郭さんにとってこの年末年始は特に忙しかった。2人の子供が夜遅く寝付いた後、深夜1時を過ぎてから起き出して、徹夜で会計の仕事をした日もあった。
郭さんは「もし当時、子供が2人いたら、高齢出産のリスクを背負うことはなかっただろう」と語る。
21日午前に可決された単独二孩政策に対し、郭さんは「可決を喜んでいる。嘉彬も嘉儀も、将来子供を2人持てるようになることを望んでいる。たとえ私がいなくなっても、彼らは互いに助け合うことができる」と語った。(編集SN)
「人民網日本語版」2013年2月23日