3月1日、「中華人民共和国反家庭内暴力法(反DV法)」が施行された。中国初の反DV法となった同法は、家庭内暴力の性質および法的責任を明確に定めており、これまで名裁判官でも裁くのが難しかった「家庭内のもめごと」を国家法によって裁くことが可能となった。
1日に正式に施行された「中華人民共和国反家庭内暴力法(反DV法)」では、家庭内暴力の範囲について、「家庭の構成員の間で、殴る蹴る・ひもで縛る・怪我をさせる、身体の自由を制限する、日常的に罵る、脅すなどの方法を用いた肉体的・精神的な暴力行為が行われることは全て、家庭内暴力に属する」ことが、明確に定義づけられた。反DV法では、家庭の構成員のほか、同居者間での暴力行為についてもDVと認められ、同法が適用されることが強調されていることも注目に値する。つまり、「同居者間暴力」も家庭内暴力の枠組みに組み入れられたのだ。
●キーワード
【《中华人民共和国反家庭暴力法》】「中華人民共和国反家庭内暴力法(反DV法)」
【家庭成员】家庭の構成員
【限制人身自由】身体の自由を制限する
【同居暴力】同居者間暴力
反DV法では、「県レベルまたは区が設立された市級人民政府は、単独でまたは支援機関に依頼し、DV被害者への一時的な生活支援を行うための臨時保護施設を設立することができる」と規定されている。反DV法の大きな特色として、人身安全保護令制度が初めて確立されたことが挙げられる。当事者がDVの被害に実際に遭っている、もしくは被害の危機に直面している場合は、人身安全保護申請を人民法院(裁判所)に対して行うことが可能で、人民法院はこれを受理しなければならない。人身安全保護令には、「被申請者(加害者)に対し、DV行為を禁じる」「被申請者に対し、申請者(被害者)またはその近親者に迷惑行為・ストーカー行為・接触などを禁じる」「被申請者に対し、申請者の居住地から転出することを厳命する」「申請者の身体上の安全を保護するためのその他措置を講じる」などが含まれる。
●キーワード
【临时庇护场所】臨時保護施設
【人身安全保护令制度】人身安全保護令制度
【责令】厳命