春節(旧正月、今年は2月5日)に中国初のSF大作「流浪地球」が公開され、大いに話題となっている。ここ数年、中国においてSFジャンルの注目度が高まりつつあり、特に劉慈欣の長編SF小説「三体」がアジア人として初のヒューゴー賞に輝いたことで、世界からも関心が寄せられるようになっている。今回は映画「流浪地球」を中心に、中国のSFについて紹介していこう!人民網が伝えた。
中国のSFが注目されるきっかけとなった小説「三体」
「三体」は劉慈欣の長編SF小説で、人類が地球と最も近い恒星系の惑星に生きている異星人・三体星人と関わりを持ち始めてから、数世紀の戦いを経て、残酷で危険に満ちた宇宙で生き残るための道を模索するというストーリー。
「地球往事三部作」シリーズとして、その後「三体II:黒暗森林」と「三体III:死神永生」も出版され、中国における発行部数は100万部以上、英語版は11万部以上に達し、中国銀河賞やネビュラ賞、そして2015年8月には世界的なSF文学賞であるヒューゴー賞長編小説部門賞などを受賞している。
2019年は中国SF映画元年に?
中国におけるSFジャンルへの注目が高まる中で、SF小説のドラマ化や映画化といった他ジャンルへの進出も話題に上るようになったが、その実現までの道のりは平たんではなかった。実際、映画「流浪地球」もその完成まで4年の歳月を要し、度重なる資金不足に悩まされただけでなく、小道具から特殊効果撮影まで、これまで中国においてSF映画というジャンル自体が未踏の地であったこともあり、様々な紆余曲折に見舞われた。
しかし同作品が制作されたことで、膨大な数の人々がSF映画製作に参加し、本格的なSF映画を創り出す経験を積んだことになる。その意味でも2019年は確かに「中国SF映画元年」となる可能性は高い。
ハリウッド作品とは一味違うSF大作「流浪地球」
中国初のSF大作となる映画「流浪地球(The Wandering Earth)」は公開初日の興行収入が2億元(約36億1千万円)を突破しただけでなく、その記録を今も更新し続けており、すでに北米とオーストラリアでの公開も決まっている。
ストーリーは太陽の爆発が迫りくる世界で、地球に巨大エンジンをつけてまるごと太陽系から脱出させるという壮大な「流浪地球」計画と危機に瀕した地球を救おうとする人々を描いている。見事なCGでリアルに描き出した地球や宇宙空間の壮大さの一方で、凍り付いた地球の表面から地下に避難した人々が暮らす「地下城」にあふれる普通の人々の暮らしや諸処に見られる中国らしさとのコントラストが面白い。また地球を救うのがなぜかごく少数の中国人というのはSF作品にありがちな「お約束」ではあるが、作品全体を貫くのは中国という一つの国というよりも、世界の一員としての中国という描かれ方になっている点もハリウッド作品と異なる点と言えよう。(文・イラスト・玄番登史江)
イラストで知ろう!イマドキ中国
人民網ではもっと身近なスタイルで今どきの中国を読者の皆さんに知ってもらうため、「つるにはまるまるむし爺さん」と「へのへのもへ郎」、「へめへめくつ美」の3人が流行語やカルチャー、時事問題など幅広いジャンルにおける「イマドキ」を紹介。中国ってこんな国なんだ!と興味を抱き、理解を深めるきっかけにしてみてください。
「人民網日本語版」2019年2月11日
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