3月7日午後、第13期全人代第4回会議の青海省代表団の審議に参加する習総書記。
2017年10月、中国共産党の第19回党大会報告は、「我が国の経済はすでに急速な成長の段階から質の高い発展の段階へと転換した」と指摘した。そして2020年10月、中国共産党の第19期中央委員会第5回全体会議(五中全会)は「我が国はすでに質の高い発展の段階へと転換した」と指摘した。3年の間に、「質の高い発展」の対象は「我が国の経済」から「我が国」へと変わった。細かな表現の変化の背景には、どのような深遠な考えがあるのだろうか?
3月7日午後、習近平総書記は第13期全国人民代表大会(全人代)第4回会議の青海省代表団の審議に参加した際、「質の高い発展」について詳しく説明した。
「経済・社会発展の各方面に対する全体的要求」
習総書記はまず「質の高い発展」について、「経済のみの要求ではなく、経済・社会発展の各方面に対する全体的要求だ」とその意味するところを明確にした。
改革開放以来、中国は経済建設を中心とすることを堅持してきた。数十年間の急速な成長を経た後に、中国経済がどう歩んでいくべきかは、近年の大きな課題だった。このため第19回党大会報告が「質の高い発展」を強調した際、まず念頭に置いたのが主として経済分野だった。
実践を推進し続け、社会は発展し続け、認識も深まり続ける。日増しに高まる人々の素晴らしい生活へのニーズと不均衡・不十分な発展との間の矛盾が中国社会の主要な矛盾になるに従い、各業種・業界は過去の低水準の粗放型発展を続けることが困難になった。
第14次五カ年計画(2021-2025年)と2035年までの長期目標についての提議を起草する過程において、習総書記は「質の高い発展がただのスローガンであってはならず、経済分野に限定されることがあってもならない」と明言した。第19期五中全会では一歩進んで、「経済・社会・文化・生態など各分野で質の高い発展という要求を体現する必要がある」と指摘した。
朝日を浴びる上海・陸家嘴(2018年6月21日、ドローンで撮影。撮影・任瓏)
「全ての地域の発展において貫徹せねばならぬ要求」
今年の全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)で、習総書記が青海省代表団で「質の高い発展」について重点的に語ることを選んだのには、さらなる意味がある。「経済的に発展した地域に対してのみの要求ではなく、全ての地域の発展において貫徹しなければならない要求だ」。習総書記のこの言葉は強い現実的方向性を示している。
経済的に発展した地域と比べ、青海省のような経済的に余り発展していない地域では、どのようにして質の高い発展を達成するのか?これについて習総書記は「現地の状況に応じた方法を取り、長所を伸ばし短所を補い、現地の実情に適した質の高い発展の道を歩む」と述べ、明確な方向性を示した。
「3つの大河の源」があり、「中国の給水塔」とも言える青海省は国の環境安全保障に決定的影響を及ぼす地位にある。青海省の質の高い発展においては、「最大の価値は生態環境にあり、最大の責任は生態環境にあり、最大の潜在力も生態環境にある」。
青海省ゴロク・チベット族自治州瑪多県星星海(2020年10月30日、ドローンで撮影。撮影・張竜)
「長期間堅持せねばならぬ要求」
「質の高い発展」の理解においては、「世界経済が低迷し、発展の原動力が不足する時期におけるやむを得ない措置ではないのか?」との誤った認識もまだある。この誤った認識に対しても、習総書記は「質の高い発展は一時、一事の要求ではなく、長期間堅持せねばならぬ要求だ」と明確に回答した。
習総書記のこの説明は、質の高い発展の推進が便宜上の措置では断じてなく、社会主義現代化建設の全局に立脚した戦略的選択であることをはっきりと示した。
さらに、習総書記は「質の高い発展の道を歩むには、人々中心の発展思想を堅持する必要がある」、「質の高い発展を素晴らしい生活への人々のニーズと緊密に結びつけるべきだ」と述べ、質の高い発展の着眼点、出発点、到着点を明確にした。
中国の発展は不均衡・不十分という問題が依然として突出し、重点分野、鍵となる部分の改革任務は依然として極めて困難であり、人の全面的発展、国民全体の共同富裕の実現までにはまだ長い道のりがあることに目を向けなければならない。人々の素晴らしい生活への憧れは奮闘目標であり、質の高い発展はこの目標を達成するために必然となる道筋だ。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年3月8日