第13期全国人民代表大会(全人代)第4回会議は3月7日午後3時から、北京市の人民大会堂記者会見ホールで記者会見を行い、王毅国務委員兼外交部長(外相)が「中国外交政策と対外関係」について国内外の記者からの質問に答えた。
■中国外交と元首クラウド外交
2020年、中国は世界各国と共に極めて非凡な道のりを歩んできた。習近平同志を核心とする中国共産党中央の力強い指導の下で、中国外交は国家、人民、世界に責任ある態度で、全力で未曾有なチャレンジに対応し、しかるべき役割を積極に果たした。
中国外交のここ1年における、一番の見どころは元首外交だった。最も揺るぎなく守ったのは国の利益であり、最も力を入れたのはコロナ予防・抑制のための外交、最も心がけたのは海外同胞の安否、最も注目したのはグローバルガバナンスの方向を把握することだった。情義を重んじ、揺るぎない心をもち、原則を重んじ、責任感を抱く中国は、世界に向けて必ずやより多くのぬくもりと希望を伝え、各国の共同発展により多くの自信と力を注ぐことになるだろう。中国は世界における覇権に断固反対し、中国内政に対する理不尽な干渉を断固として跳ね返す。中国への主権侵害、中華民族の尊厳への誹謗中傷は決して容認できず、中国人民の正当な権利は必ず守られるべきものだ。
■中露関係
未曾有の新型コロナ感染症を前に、中露は緊密に協力し、手を携えて新型コロナウイルスに対応し、共に「政治ウイルス」に対抗した。中露の団結は強固で、世界の平和と安定を支える苦しく辛い状況でも動じずに、毅然と節義を守る「中流の砥柱」となった。世界が不安定であればあるほど、中露協力はなおさら揺るぎなく前進していくべきだ。両国は互いに戦略的拠り所、発展のチャンス、グローバルパートナーとなるべきだ。今年は「中露善隣友好協力条約」調印20周年に当たる。双方は条約の更新で一致し、新時代に相応しい意義を与えた。これは中露関係の一里塚であり、新たなスタートでもある。双方は永続的な友好、協力ウィンウィンの条約精神を発揚し、より大きな範囲、より広い分野、より深いレベルで新時代における中露全面的戦略協力パートナーシップを推進していく。
■中国共産党設立100周年と党による指導
中国外交は党が指導する人民外交事業だ。中国共産党は中国人民の屋台骨であり、中国外交の拠り所でもある。
人民の幸福と民族の復興を実現させるという中国共産党の初心は中国外交の責任を定め、独立自主を重視し、公平と正義を発揚する党の求める価値観は中国外交が堅持する基本的な原則を定めた。平和発展を堅持し、協力ウィンウィンを図り、人類運命共同体を構築することは、党章と憲法の定めるところであり、中国外交が努力すべき道と方向でもある。
党の指導は中国外交の最大の政治的優位性で、中国の外交事業が次々と勝利を収める根本的な保障だ。中国は今後も党による外交事業への指導を堅持し、習近平外交思想を全面的に貫徹し、党の伝統に基づき外交の気骨を練磨し、党の歴史的経験で外交の知恵を啓発し、絶えず中国の特色ある大国外交の新たな局面を開拓していく。
■中国・アフリカ関係
中国とアフリカの深い友情は国の独立、民族の解放を求める困難な状況において、力を出し合って努力していく中で形成され、戦友であり、兄弟でもある。この情義は堅固で、しかも時が経つほど強固になっている。我々は永遠に運命を共にする良き友人とパートナーだ。中国とアフリカの協力はすでに南南協力の手本となり、対アフリカ協力の模範となっている。中国とアフリカが共に質の高い「一帯一路」を建設し、手を携えてより緊密な運命共同体を構築することで、アフリカの発展に引き続き原動力を提供していく。
■香港地区について
中央政府が香港選挙制度を整備し、「愛国者による香港統治」を実施することは、「一国二制度」事業を推進し、香港の長期安定を保つための現実的な必要性からであり、憲法に与えられた全人代の権力と責任でもある。完全に憲法と法律に合致し、正当かつ合理的なものだ。自分の祖国に忠誠を尽くすことは公職に就く者、もしくは選挙で公職に就きたい者が必ず守るべき基本的な政治論理であり、香港地区においても同じだ。
中央政府は香港地区の民主発展に関心を抱き、その安定と繁栄を望んでいる。香港地区が動乱から安定に転じることは、完全に各方面の利益に合致し、香港市民の各種権利と外国投資者の合法的利益に、より確実な保障を提供することになる。我々は「一国二制度」、「香港人による香港統治」、高度な自治を堅持しようと決心しているのと同時に、香港のより明るい未来を作りだす自信も持っている。
■中米関係
中国の内政について最も発言権があるのは中国国民だ。米国は「民主」や「人権」を口実に他国の内政に干渉し、世界中で多くのトラブルを起こしている。米国は早くこれを認識すべきだ。社会制度の異なる中米間に溝や対立が存在するのは避け難いことだが、肝心なのは、率直な意思疎通を通じて効果的にこれを管理・コントロールし、誤った戦略的判断や衝突、対立を回避することだ。両国だけでなく世界の共通利益の観点からも、中米双方は協力を追求すべきだ。米側に対し、中国と歩み寄り、両国協力における様々な不合理な制限を早急に解除し、人為的に新たな障害を作らないよう希望する。2月11日、習近平主席はバイデン大統領と電話会談を行い、両国元首は両国関係が正常な軌道に戻るための方向を明確にした。中国は米側と共に、今回の電話会談の成果を全面的に実行に移し、健全で安定した中米関係の発展を推進していく用意がある。
■中国の国連における合法的な議席回復50周年
50年前の第26回国連総会で、中華人民共和国の国連での合法的議席を回復する決議が採択され、世界の4分の1近くの人口を有する大国が国際社会へ復帰した。中国は一貫して公平と正義を主張し、国の大小を問わず一律平等を堅持してきた。中国の一票は発展途上国に属している。世界情勢が大きく変化する中、国際社会は国連が時代と共に進み、改革・健全化し続けることを期待している。情勢の変化や改革の進展にかかわらず、「国連憲章」の趣旨と原則、国際体系における国連の核心的地位、国連の平等協議という基本的ルールを堅持するべきだ。
■中欧関係
中欧関係は危機とチャレンジを前に強靭性と活力を示し、世界に積極的なメッセージを発信した。中欧双方は幅広い共通利益を備えており、協力ウィンウィンは双方関係における主旋律となっている。中欧二大文明は対話と交流が可能であり、我々は制度上のライバルではない。中欧が独立自主で協力すれば、大きなことを数多く成し遂げられるだろう。中国と欧州は多極化した世界における二つの重要なパワーを代表し、双方関係は平等かつオープンなもので、いかなる第三者もその標的とせず、いかなる第三者からも束縛されるべきではない。
■ワクチン協力
ワクチンはウイルスと闘う強力な武器で、命を救う希望でもある。全世界に提供され、全人類に恩恵をもたらすものにすべきだ。中国は揺るぎなくワクチンの公共財である「第一属性」に則すること、ワクチンに関する国際協力の「第一陣」にいること、ワクチンの公平な分配に取り組む「第一陣」に立つことを堅持する。中国製であろうと、外国製であろうと、安全かつ信頼できるものであれば、良いワクチンだと言える。中国は「ワクチンナショナリズム」に反対し、「ワクチンデバイド」を作るやり方を受け入れず、当然ながらワクチンに関する協力を政治化しようとするいかなる企みにも反対する。中国は、能力を備えたすべての国が、需要のある国、特に途上国にワクチンを提供し、ワクチンを各国人民が負担でき、使用できるような真の「人々のワクチン」にすることを望んでいる。
■WTO加入20周年
中国の世界貿易機関(WTO)加入は、中国の対外開放と世界経済のグローバル化において一里塚的な意義を持つ重要な出来事だった。過去20年間で、対外開放の基本国策、互恵ウィンウィンの協力理念、経済グローバル化の正確な方向、WTOの核心的役割堅持という四つの重要な示唆を得た。グローバル化による新しい問題と試練を前にして、保護主義や孤立・デカップリングへと後戻りしてはならない。手を携えて、より開放的、包摂的で、あまねく恩恵のある、均衡ある、ウィンウィンの方向へとグローバル化を進展させていくべきだ。
■中日関係
成熟かつ安定した中日関係を構築するために、不動心を保つ必要があり、一時、一事に影響されないことが求められる。日本社会が客観的かつ理性的な対中認識を形成し、長期にわたる安定した中日関係の構築に利する民意の基盤を固めることを希望する。中日両国は前後してオリンピックを開催することになる。双方は互いに支持し合って共に大会を盛り上げ、この二つのオリンピックを両国国民の友好を深める場と中日関係の発展を促進するチャンスにすることができるだろう。
■新疆について
新疆で「ジェノサイド」とされているものはでたらめが甚だしく、完全に下心のあるデマで、真っ赤なうそだ。欧米各国の一部の政治屋が少数の人が捏造したうそに執着し、新疆の各民族2500万人以上の心からの声を聞こうともしていない。少数の反中国勢力の劣った演出に迎合し、新疆が発展と進歩を遂げているという基本的な事実を直視しようともしていない。これは真相ではなく政治をもてあそび、人為的にいわゆる「新疆問題」を作り出そうという企みで、新疆の安全と安定を破壊し、中国の発展を阻止する意図を証明するものだ。
■台湾地区について
海峡両岸は統一すべきであり、必ず統一することになる。これは大勢の赴くところで、中華民族全体の意志であり、変わることはないし、変えることもできない。「一つの中国」原則は中米関係の政治的基盤であり、越えてはならないレッドラインだ。台湾地区問題において、中国政府に妥協や譲歩の余地はない。中国は、米国新政権が台湾地区問題の高度な敏感性を十分に認識し、「一つの中国」原則と中米間の三つの共同コミュニケを確実に守り、前政権の危険なやり方を徹底的に変え、台湾地区問題に慎重かつ適切に対応するよう促す。
■一帯一路
新型コロナ感染症の中でも「一帯一路」(the Belt and Road)協力は前進し、新たな成果を収めた。「健康シルクロード」の建設を通じて感染対策の国際協力を行い、「デジタルシルクロード」を構築して「情報回廊」を建設した。また、「グリーンシルクロード」でグリーンエネルギー、グリーンインフラ整備、グリーン金融協力を強化し、「一帯一路」を世界の低炭素への転換及び感染症収束後のグリーンな回復の重要なエンジンにしていく。新型コロナ感染症で世界は大きく変わったが、各国の「一帯一路」に対するニーズに変わりはなく、中国の「一帯一路」国際協力推進の決意にも変わりはない。中国は「一帯一路」の共同建設により良いルートを提供し、「一帯一路」協力パートナーにより多くの機会をもたらすだろう。
■中印関係
中印関係とは、世界における二つの最も大きな発展途上国がどのように仲良く付き合い、そして共同発展と振興を実現するかという問題だ。中印は仲間であり、パートナーであり、脅威やライバルではない。双方は互いに助け合うべきであり、消耗すべきではない。協力を強化すべきであり、防備すべきではない。事実が改めて証明しているように、一方的に対立を生み出すことは問題解決にならず、平和的交渉に戻ることこそ正道だ。
■領事保護
突如生じた感染症に際し、党と政府は海外の全ての同胞の安全と健康を終始心がけた。外交部および在外公館は臨時の動員を行い、世界各地で領事保護活動を展開した。中国は海外の同胞のワクチン接種を積極的に支援するほか、国際旅行健康証明書を発行し、安全で秩序が保たれた人的往来をサポートする。さらに海外の領事「クラウドサービス」を全面的に実現させ、「オンラインでの対応」、「窓口に行かずに手続き」、そして「24時間」オンラインで海外の中国公民に向けて旅券・査証及び領事保護業務の処理を実現させる。
■ミャンマー情勢
平和と安定は国家発展の前提であるため、ミャンマー各方が冷静さと自制を保ち、国民の根本利益に立脚し、対話と協議を通じて、憲法および法律の下で紛争を解決し、引き続き民主化プロセスを推進することを希望する。当面の急務は、新たな流血による衝突を防ぎ、早急に情勢の緩和を実現させることだ。ミャンマーと中国は苦楽を共にする運命共同体だ。中国の対ミャンマー友好政策はミャンマー国民全体を相手とし、中国は国民民主連盟を含むミャンマーの各党各派と長期にわたる友好関係を保っている。対中友好もミャンマー各界に一貫する共通認識となっている。ミャンマー情勢が如何に変化しようとも、中国側が中国-ミャンマー関係を推進する決意は揺らぐことなく、友好協力を促進する方向も変わらない。
「人民網日本語版」2021年3月7日