人々が十分に人権を享受できるようにすることは、人類社会共通の奮闘目標だ。人権は少数の国々の専売特許ではなく、ましてや他国に圧力を加える道具にして、ダブルスタンダードを用いることがあってはならない。(人民日報「鐘声」国際論評)
米国はこれまでずっと世界の「人権の擁護者」を自称してきた。3月24日、中国国務院新聞弁公室は1万5000字にも及ぶ「米国人権侵害報告2020」を発表した。報告は数多くの事実と詳細で正確な統計によって、「民主主義を打ち立てた国」である米国による人権侵害と人権冒涜の新たな記録を暴き出した。
2020年、新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るい、人類の生命の安全を深刻に脅かした。米国は世界で最も豊かな医療資源と医療・看護能力を備えているとしておきながら、新型コロナ対策では混乱づくめとなり、世界で最も多くの感染者と死者を出した国となった。米国は制御不能な感染拡大に陥っただけでなく、これに伴い政治的混乱や人種間衝突、社会的分断も招いた。エスニック・マイノリティはシステミックな人種差別に遭い、苦しい状況に置かれた。銃器売買と銃撃事件は過去最多を記録し、人々は社会秩序への信頼を失った。またアフリカ系男性のジョージ・フロイドさんが白人警察に残忍にも膝で圧迫されて死亡したことで、米国社会に怒りの炎が燃え広がった。さらに貧富の格差の拡大が加速し、底辺の民衆は耐え難い生活苦にあえいだ。これほどひどく深刻な人権問題を前に、米国政府はしかるべき省察をしなかっただけでなく、世界の他の国々の人権状況についてとやかく口を挟んで、人権問題におけるそのダブルスタンダードと偽善性を存分に露呈した。
米国は民主制度の「模範」を自称し、何かというといわゆる民主・自由・人権維持を旗印にして、多くの国々に対してあれこれと批判や指図をし、恣意的に圧力をかけている。だが、金銭に支配された米国政治の選挙は実質的には金がものを言う状態で、選挙に対する民衆の信頼は危機に陥り、政治の二極化現象が日増しに深刻化し、選挙後の暴動が米国式民主主義の危機を浮き彫りにした。このワシントンで演じられた政治的混乱に世界は驚愕した。過激な政治屋は票稼ぎのためには熱狂的ムードを煽り立て、有権者間の対立を唆すことも辞さない。米国式の民主主義は日増しに二極化する政治的溝を埋められないだけでなく、反対に米国社会の分断をさらに激化させ、米国の民衆の公民権と政治的権利を有名無実化させている。
いわゆる「人権の擁護者」が実際には国際ルールの蹂躙者で、人道的災害の製造者であることはこうした事実が証明している。パンデミックとの闘いが全世界の団結を必要としている時に、米国は頑なに自国優先を信奉し、孤立主義と一国主義を推し進めた。2020年、米国は国際社会の反対を顧みず、強引に世界保健機関(WHO)から脱退し、パリ協定から離脱した。制裁による圧力を振りかざし、パンデミックの最中でもなお一部の国々に対して一方的な制裁を科して、被制裁国が新型コロナとの闘いに必要な医療物資を手に入れることを困難にした。そして感染拡大のリスクを顧みず、不法移民の子供達少なくとも8800人を付き添いのないまま強制的に国外へ追放した。さらには国際機関を苦しめ、威嚇し、国際法と国際的道義に打撃を与えた。こうしたことから、米国は世界の安全と安定に対する最大のトラブルメーカーとなっている。
世界には、どの国にも適用できる人権発展の道は存在しない。我々は世界各国が相互尊重の原則に基づき人権分野の交流・協力を強化することは支持するが、ダブルスタンダードによる他国への非難とイメージの毀損、人権問題を利用した内政干渉には反対する。今の時代、人類社会の発展はまさに新たな十字路に立ち、新たな厳しい試練に直面している。世界各国は過去のどこ時期にも増して、一致協力する中で人類社会の直面する危険や試練に対処することを必要としている。米国側が偽善、覇道、圧力、ダブルスタンダードを捨て去り、国際社会と向き合って進み、共に人類運命共同体を構築できることを望む。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年3月25日