経済回復に困難をもたらす日本の原発汚染水の海洋放出
海洋汚染をはじめとする環境問題は人類の健康に関わる安全の問題であり、また経済の問題でもある。日本がこのたび原発汚染水の海洋放出を強行したことは、自国の水産業などの関連産業に深刻な打撃を与えるだけでなく、グローバル経済にも潜在的なリスクをもたらすことにもなる。(文:白如純・中国社会科学院日本研究所研究員)
東京電力福島第一原子力発電所で事故が発生して以来、世界の複数の国と地域が福島県などが原産の日本製品の輸入制限措置を取ってきた。長年にわたり、日本政府はロビー活動を展開して関係国・地域に制限撤廃を働き掛け輸出拡大を図ってきた。2021年9月、米国は関連の制限措置を撤廃した。最近は欧州委員会が福島の水産物を含む日本産食品の輸入制限を撤廃すると発表した。しかし原発汚染水の海洋放出には科学的根拠と長期的な国際監視メカニズムがないため、その海洋環境と人類の健康などにもたらす影響は予測できない。将来、より多くの国・地域が日本製品の輸入制限措置を継続・採用する可能性は排除できない。
東日本大震災が発生してから12年がたつが、被災地の復興ペースが遅く、今なお故郷に帰還できない人がたくさんいる。現地の人々は、日本政府に地元の経済を復興し生活の困難を解決するために力強い政策を打ち出してもらいたいと切に願っている。日本政府が原発汚染水の海洋放出を強行したことは、福島県をはじめとする地域の関連産業にとって二次的な打撃となり、震災からの復興プロセスをさらに遅らせ、最初の打撃よりも大きな取り返しの付かない影響を及ぼすことになる。
同時に、海洋は流動するので、日本が原発汚染水を海洋放出すれば、太平洋や地球全体の海洋生態環境を汚染することは確実だ。そうなれば、汚染された海域の水産物は売れなくなり、それに付随して水産物の消費量が減り、マリン・ビーチ観光産業の旅客数が激減するなど一連の連鎖反応をもたらし、世界の漁業、飲食業、輸送業などの関連産業にも暗い影が差すことになる。また原発汚染水の海洋放出はグローバル産業チェーン・サプライチェーンにもマイナス影響をもたらす。メディアによれば、韓国では一部の人々が汚染を心配して、食塩と水産物の買い占めに走り、韓国国内の海塩価格が上昇したという。現在、新型コロナウイルス感染症やウクライナ危機などの影響により、グローバル経済は復興への力が不足しており、世界各国が共同でより多くの安定性と確実性を提供することが差し迫って必要とされている。このような重要な時期での日本の振る舞いは、回復の難しさに苦しむグローバル経済にさらなる混乱と混乱をもたらすものであることは間違いないだろう。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年8月28日
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