ヨウ素添加塩で放射能を防げる? 北京疾病予防管理センター「防げない」
8月24日午後、日本は東京電力福島第一原子力発電所の原発汚染水の海洋放出を開始し、世界中で注目と議論を引き起こした。多くの市民が食用塩を買い占めに走り、ネットには「ヨウ素添加塩で放射能を防ぎ、甲状腺の機能を守れる」との説も出回った。
これについて、北京疾病予防管理センターと江蘇省の関連機関が25日、「ヨウ素添加塩を食べて放射能を防げるというのは、正しくない」、「ヨウ素添加塩を食べても放射能は防げない」ことを伝える文章を相次いで発表した。
それは当然なのだ。ヨウ素添加塩を食べて放射能を防ごうとするのは、正しいやり方ではない。
人体にある甲状腺は放射性ヨウ素の照射を取り込みやすい器官で、放射性ヨウ素の照射はガンの発生リスクを高める。ヨウ素が放射線を防止するメカニズムは、安定ヨウ素剤を摂取して甲状腺のヨードを飽和状態にし、放射性ヨウ素の甲状腺内での集積を減らし、放射性ヨウ素が甲状腺に与えるリスクを軽減するというものだ。
2023年1月17日、世界保健機関(WHO)は「放射線および原子力緊急事態に備えて備蓄すべき医薬品のリスト」を発表した。その中で、「安定ヨウ素剤は甲状腺の放射性ヨウ素への暴露を防止・減少するのに使用される」とした。またWHOは「安定ヨウ素剤投与による甲状腺ブロック:放射線災害および原子力災害への計画と対応における利用ガイドライン」の中で、成人(12歳超)の安定ヨウ素剤の年齢層別の推奨単回用量は100mgとした。
しかし「中国住民飲食ガイド(2022)」では、「成人の1日あたり食塩摂取量は5gを超えてはならない」と明記されている。食塩を大量に摂取すれば心臓や腎臓への負担が増加し、高血圧などの病気につながり、深刻な場合は脱水症状を引き起こし、死亡に至ることもある。
健康な成人であればヨウ素添加塩を一回に3-5kg摂取してはじめて、WHOが推奨する安定ヨウ素剤の1回あたり容量の100mgに達することができる。これは中国の1日の食塩の推奨摂取量をはるかに上回っている。
そのためヨウ素添加塩を食べて放射能を防ぐのは正しいやり方ではない。1日に食べるヨウ素添加塩は適量を守るべきだ。ヨウ素添加塩は必要なだけ購入すればよく、大量にストックする必要はない。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年8月29日
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