乙女心くすぐる清代のストロー付き酒器

人民網日本語版 2023年09月26日09:20

清光緒款粉彩花卉形秋操吸杯(天津博物館所蔵)

清光緒款粉彩花卉形秋操吸杯(天津博物館所蔵)

リアルなハスの花びらをかたどり、その色は乙女心をくすぐるグラデーションピンク、茎の部分は黄緑色で、まるでもうすぐ開花するハスの花を持っているような気分になる。そして茎は酒器の取っ手として使うこともできれば、ストローとして使うこともできる。冷やした美酒を入れて、ストローで飲むと、たちまちハス池の水辺で、心地よいそよ風に吹かれているような、爽快な気分になることができ、昔の人々の暑い夏を快適に過ごすコツを学ぶことができる。このような見た目だけでなく、実用性にも優れた器を好まない人などいるだろうか?

中国各地にある多くの博物館で、このようなハスの花や葉の形をした「ストロー付き酒器」を鑑賞することができる。あるネットユーザーは「どこの博物館にもある文化財」とコメントしているが、なぜどこの博物館にもあるのだろうか?その理由は「清光緒款粉彩花卉形秋操吸杯」という名前に隠されている。まず、「粉彩」は清代康熙年間(1662‐1722年)に生まれた色調が豊富で、やわらかい色合いの陶磁器の彩色上絵技法の一つだ。その後、清の第11代皇帝・光緒帝(1875-1908年)の時代には、その技術が成熟し、大量生産できるようになった。また、「秋操」とは、光緒年間に行われた練兵を指す。つまり「秋操杯」とは、秋の練兵のために特別に作られた記念品ということだ。そのため、当時大量に作られ、現在、多くの博物館でそれらを鑑賞できるというわけだ。(編集KN)

中国の文化財は語る

博物館は人類文明を保護し、伝承する重要な場。博物館に所蔵されている文化財は埃をかぶった骨董品ではなく、いずれも民族の生きてきた証となる生きた伝承だ。「中国の文化財は語る」では毎回博物館に所蔵されている文化財の紹介を通じて、文化財に込められた中国の文化と精神について紹介していく。

「人民網日本語版」2023年9月26日

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