中国の語言文学雑誌「咬文嚼字」編集部が、読者からの応募、ネットユーザーによる投票、専門家とメディアによる選出を経て、毎年選出しているその年の「流行語トップ10」。今年も12月4日に上海で「2023年流行語トップ10」が発表された。ここではその中から一部をピックアップし、「イラストで知ろう!イマドキ中国」のキャラたちが流行語にまつわるアレコレを5回シリーズで紹介する。人民網が伝えた。
最終回となる5回目は「多巴胺○○(ドーパミン○○)」。別名「幸せホルモン」とも呼ばれるドーパミンは、脳の側坐核から分泌される神経伝達物質で、やる気が出る、気持ちいい、心地よいといった意欲や快楽に関係している。そしてそんなドーパミンの分泌につながるとされているのが、ピンクやイエロー、鮮やかなブルーにグリーンといった彩度の高い明るい色。こうしたポジティブな気分を引き出してくれる色合いのコーディネートを楽しむのが「ドーパミン・ドレッシング」だ。ただこうしたコーディネート自体は決して目新しいものではなかった。
ではどうして今年、中国でこれほどドーパミン・ドレッシングが注目されるようになったのだろうか?その火付け役となったのは、ユーザー名「白昼小熊」さんが、ショート動画共有アプリ「抖音(中国版TikTok)」に投稿したカラフルなコーディネートで楽し気に歩く姿を自撮りした動画。この動画が大きな注目を集め、たちまち「ドーパミン・ドレッシング」というワードにも注目が集まり、類似したコーディネートの動画が雨後の筍のように投稿された。
そして、そこからがまさに「中国あるある」なのだが、この話題を機に「ドーパミン」の名を冠したありとあらゆるものが誕生した。ドーパミン・ドレッシングに合わせたドーパミン・メイクから、ちょうど夏に向かう時期だったこともあり、フルーツなどを使った鮮やかな色合いのドリンクも「ドーパミン・ドリンク」に。さらには外壁などをカラフルに塗った村は「ドーパミン・観光地」と呼ばれ、こうしたファッション、飲食、観光などでお金が動くようになれば「ドーパミン経済」となる。まさに「猫も杓子もドーパミン」である。
世の中にドーパミンが溢れているのはポジティブでいいじゃないか、と思う反面、なんだかあまりにもカラフル過ぎて、目がチカチカしてしまう。この感覚、何かを連想させると思ったら、中国の広場などで踊っている秧歌(ヤンコ踊り)の衣装だった。ドーパミン・ドレッシングでキュートにキメてるお嬢さんたちの原点はここだったのか!そして確かに中国の「大爺大媽(おじちゃんとおばちゃん)」たちほどポジティブで元気ハツラツな人々はいないな、とドーパミン・ドレッシングの「効力」を実感したのだった(文・イラスト・玄番登史江)。
イラストで知ろう!イマドキ中国
人民網ではもっと身近なスタイルで今どきの中国を読者の皆さんに知ってもらうため、「つるにはまるまるむし爺さん」と「へのへのもへ郎」、「へめへめくつ美」の3人が流行語やカルチャー、時事問題など幅広いジャンルにおける「イマドキ」を紹介。中国ってこんな国なんだ!と興味を抱き、理解を深めるきっかけにしてみてください。
「人民網日本語版」2023年12月15日
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