上海世久無形文化遺産保護基金会の陳学栄理事長を独占取材
笹川平和財団や上海世久無形文化遺産保護基金会(以下、「世久基金会」)、日本工芸会が共同で主催した中日伝統工芸交流事業成果の成果物である「日本の人間国宝・伝統工芸」の出版報告会がこのほど、東京で開催された。世久基金会の陳学栄理事長が人民網の取材に応じ、「世久基金会」設立の目的や主旨のほか、笹川日中友好基金と展開する無形文化遺産をめぐる国際協力の経験を紹介した。人民網が報じた。
経済学博士や金融学教授、証券会社の最高経営責任者(CEO)といった肩書きを持ち、科学研究や金融といった分野の経験が豊富な陳理事長は現在、無形文化遺産保護という全く新しい分野に足を踏み入れ、意気投合した仲間と「世久基金会」を立ち上げた。「世久」とは、「無形文化遺産保護」は世界的で恒久的なテーマであることを意味しているのだという。
陳理事長が重ねてきたキャリアからすると、無形文化遺産保護は全くの畑違いだった。しかしその業界を勇退し、無形文化遺産保護の分野に足を踏み入れ、ずっとしたかったものの、できていなかったことに没頭することにしたのだという。その理由について、陳理事長は、「文化は人類の最も根本的な落ち着き先であり、ニーズだ。世界各国の自然文化遺産を巡って、深く感じるものがあった。最終的に基金会は、『無形文化遺産』を糸口にして、伝統技術にスポットを当て、中年・青年の伝統技術従事者に、導きやサポート、保護を提供するほか、国際的な文化交流、協力を積極的に展開することにした」と説明する。
人民網の取材に応じる上海世久無形文化遺産保護基金会の陳理事長(撮影・許可)。
陳理事長は90年代初めには、訪日青年代表団と共に訪日し、とても深い印象を受けたという。2018年に世久基金会を設立した後、陳理事長は友人の紹介で、笹川日中友好基金と出会い、協力を深めるようになった。「無形文化遺産保護と伝承の分野で互いに歩み寄り、意気投合している。3年に及ぶ新型コロナウイルス感染拡大期間中、双方は様々な困難を乗り越え、中日伝統工芸交流事業成果の成果物である『日本の人間国宝·伝統工芸』という本を刊行した。約36万字の中国語と日本語のバイリンガル版書籍で、『人間国宝』57人の技術が紹介されている。インタビュー記事から表紙のデザイン、審査・修正、出版に至るまで、専門家が何度もチェックした。『匠の精神』が十分に発揮された後世に伝えることができる1冊となっている」としている。
日本の「人間国宝」と交流する過程で、陳理事長は、その深い造詣や人格的魅力に心を打たれたという。そして「日本の人間国宝·伝統工芸」が完成した後、57人の「人間国宝」のうち、7人が亡くなってしまったことに心を痛めているという。そして、「これは、重い話題であるものの、全ての人に対する警告でもある。私たちは後世にどのような文化遺産を残すことができるか、真剣に考えなければならない」との見方を示した。
伝統工芸は、中日文化の基礎だ。今年は中日平和友好条約締結45周年という非常に意味のある年であり、陳理事長は、中日の交流の歴史や逸話を例にして、「中国と日本は伝統工芸の分野の協力において、種をまいてきた。今後もその花が咲き続け、後世の人に益を及ぼすだろう」としたほか、今後の計画について、「世久基金会と笹川日中友好基金は共同出版や青年伝統工芸職人の相互訪問リードといった形を通して、新たな国際協力のスタイルを作り上げ、その経験を積んできた。今後は、無形文化遺産に『息を吹き込み』、若者が好む二次元(アニメ・漫画・ゲームなどの総称)と結びつけて、伝統文化のトレンド化といった形で、無形文化遺産保護や伝承の発展を共に促進していきたい」とした。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年12月29日
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