辛い時の心の痛み、ブロークンハート症候群の可能性

人民網日本語版 2024年01月25日09:41

脳は感情の中心だ。感情の形成と処理は複雑なプロセスであり、脳の異なる部位が担っている。しかしこれは感情が脳のみに影響を及ぼすことを意味しない。私たちがよく口にする「心が折れそう」「心が苦しくて息もできない」は苦しい感情を誇張した表現であるだけでなく、実際にそうなることは確かにある。人は苦しい時に、確かに心の痛みを感じることがあるのだ。北京青年報が伝えた。

ブロークンハート症候群は、ストレス性心筋症、たこつぼ症候群とも呼ばれ、心理的または生理的なストレスにより生じる、冠動脈閉塞とは関係しない急性心不全症候群だ。ブロークンハート症候群は当初、日本の漁師が使うたこつぼから名付けられた。ブロークンハート症候群にかかった患者の心臓の左心室が膨張し、上が狭く下が広いたこつぼ状になるからだ。

極度に興奮、または極度に感傷的になると、体はカテコールアミン(主にノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミンから構成される)と呼ばれる物質を大量分泌し、血管に送り込む。過剰なカテコールアミンは心臓にとって毒のようになり、毛細血管を収縮させ、心臓の拍動能力を低下させ、心臓の正常な働きができなくなる。感情または体のストレスが発生してから数分もしくは数時間内に、患者に胸の痛み、呼吸困難、めまいといった心臓病に似た症状が現れる。約10%の患者にはさらに心不全と心原性ショックが生じる。ブロークンハート症候群の併発症の発症率は比較的高く、肺水腫、不整脈、心不全、さらには急死を招いてしまうことがある。

ブロークンハート症候群にかかりやすい人は?

研究によると、ブロークンハート症候群の患者の66.7-90%は女性で、しかも50-75歳の年齢層が多い。なぜなら、女性の閉経前であれば、体内に血管の活性物質の生成を促す十分な女性ホルモンがあり、血管内皮の修復、血管の張りの維持、血管の透過性の維持に役立つ。女性の体内の女性ホルモンは「心臓の傘」の役割を果たすことになる。一方で、50歳前後になると、卵巣機能が低下し女性ホルモンの分泌が減るにつれ、体内のホルモンバランスが乱れ、心臓と血管が打撃を受けやすくなるからだ。

神経的または精神的疾患、高血圧、糖尿病、高脂血症の患者及び長期的な喫煙者もブロークンハート症候群にかかりやすい。

ブロークンハート症候群にかからないようにするには?

暗示は人の心理状態と行動に大きな影響を及ぼす。そのため「今日は楽しい一日になる」「こんなに多くの仕事をやり遂げた私って本当にすごい」などと常にポジティブな自己暗示をかける必要がある。ポジティブ思考は心理的健康に非常に役立つだけでなく、作業効率を高めることもでき、好循環になる。

人に愚痴るのもストレス発散の有効な手段だ。心の苦しみを口にすれば、これらのネガティブな感情を放出しストレスを和らげ、よりリラックスした状態になり、心を平静に保てる。

人は感情が抑圧されると体に有害な物質を分泌するが、泣くことを通してこれらの有害物質を効果的に排出できる。それとは対照的に、心から大笑いをすればエンドルフィンの分泌を促進し、喜びの感情を生み出すことができる。

飲食の面では、食事のバランスが取れていることを前提にして、十分な炭水化物を摂取することでネガティブな感情の払拭に役立つ。さらにランニング、速歩き、水泳などの有酸素運動によりエンドルフィンの分泌を促し、ネガティブな感情に対抗できる。また十分な睡眠の確保、音楽鑑賞、絵を描く、入浴、照明を明るくするなどの健康的な生活習慣は、ネガティブな感情からの脱却に役立つ。(編集YF)

「人民網日本語版」2024年1月25日

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