宋代「闘茶」の必須アイテム「建盞」

中国の文化財は語る

人民網日本語版 2024年02月02日10:50

宋建窯黒釉醤斑碗(福建博物院所蔵)

宋建窯黒釉醤斑碗(福建博物院所蔵)

「建盞」は、多くの名窯があった宋の時代に、「建窯」で作られた黒釉のかかった茶碗で、古代の建州で作られた「盞」(杯状の器)であることから「建盞」の名がある。日本では「天目茶碗」という名前で知られている。その誕生は、宋の時代の「闘茶」文化と密接な関係がある。「宋の時代の『建盞』を理解すれば、宋代の人々が愛した茶文化の優雅な境地を理解することができる」と言う人もいる。

「闘茶」とは、茶を点てて茶を評価することを言う。茶を点てるとは、抹茶の入った茶碗にお湯を注ぎ、茶せんを使って泡立てることだ。「闘茶」では、茶を点てた時の泡が真っ白か、その泡がどれほど長持ちするかなどを競う。

「建盞」は、現地で採取できる鉄を非常に多く含んだ胎土を使って作られているため、焼き上げると器胎が黒く仕上がり、叩くと金属のような声がする。そのため、「鉄胎」とも呼ばれている。器胎は厚くて重く、硬い。器胎の中には小さな気孔があり、「闘茶」の時に、茶を点てた時の泡の白さを強調できるほか、保温にも適しており、宋の時代の人々は「欠かすことのできない上等の茶器」として珍重した。

この「宋建窯黒釉醤斑碗」は高さが6センチ、口径が12.4センチ、底直径が3.9センチで、内側の縁の部分が少し盛り上がっており、茶を点てるのに適している。内側にも外側にも美しい「醤斑紋」が浮かび上がり、「建窯」の逸品となっている。「建盞」は焼成の過程で釉が激しい酸化還元反応を起こし、様々な模様が浮かび上がる。その模様の特徴別に、「兔毫」や「油滴」、「曜変」などの種類に分けることができる。釉の色は墨のように黒く、禅の境地を感じさせる。器の素地は黒く、静けさと古風な質朴さ、奥深さのある美しさを醸し出している。その他、「建盞」は、「撇口」、「斂口」、「敞口」、「束口」という4種類の基本形があり、宋の時代の人々は茶を飲む時の目的や趣味嗜好に合わせて使い分けることができた。(編集KN)

中国の文化財は語る

博物館は人類文明を保護し、伝承する重要な場。博物館に所蔵されている文化財は埃をかぶった骨董品ではなく、いずれも民族の生きてきた証となる生きた伝承だ。「中国の文化財は語る」では毎回博物館に所蔵されている文化財の紹介を通じて、文化財に込められた中国の文化と精神について紹介していく。

「人民網日本語版」2024年2月2日

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