中国未来産業シリーズ3:人工知能が新型工業化にエネルギー注入
編集者付記:習近平国家主席は2023年9月に黒竜江省を視察した際、「新たな質の生産力」のコンセプトに初めて言及した。また23年末に行われた中央経済政策会議では、「科学技術革新によって産業の革新を推進し、特に破壊的技術と先端技術によって新産業、新モデル、新原動力を生み出し、新たな質の生産力を発展させなければならない」と再び強調した。24年になると、各地が新年の活動計画を立てる中で、新産業の育成加速、新たな質の生産力の発展を重要だと位置づけた。
人工知能(AI)は未来をリードする戦略的技術であり、新たな科学技術革命と産業変革の中核的な推進力であり、新たな質の生産力を発展させる重要な場と見なされている。製造業はAIが新たな質の生産力を加速度的に形成する上で最も重要な分野だ。
賽迪顧問人工智能・ビッグデータ研究センターの鄒徳宝常務副総経理はこのほど取材に対し、「中国の工業の基礎に軸足を置き、新型工業化にパワーをもたらすAIの後発優位性を十分に発揮し、新型工業化の飛躍的発展を実現することは、中国の総合的国力を絶えず向上させ、中国の工業技術水準を世界のトップグループへと近づけるためのカギだ」との見方を示した。
現在、AI技術は製造業に力強いパワーをもたらす役割を果たしている。大規模AIモデルをはじめとするAIの発展には、技術イノベーションが速い、応用の浸透レベルが高い、国際競争が激しいといった特徴が見られ、また製造業との深い融合を加速し、製造業の生産モデルと経済形態を深いレベルで変えてきた。中国はAI中核産業の規模が拡大を続け、スマート半導体、開発フレームワーク、汎用的大規模AIモデルなどのイノベーション成果が次々に登場し、計算力の規模は世界2位になった。AIと製造業の深いレベルでの融合が、製造業の先端化、スマート化、グリーン化、融合化を力強く推進している。
江蘇省江陰市にある江陰興澄特殊鋼鉄有限公司(江澄特鋼)は世界の鉄鋼業界初の「ライトハウス」で、世界最先端の工場と呼ばれている。ここではAI技術と高精度センシングデバイスを結び付けることで、特殊鋼業界における製品の多品種少量生産と大規模生産の間の矛盾を解決し特殊鋼の年間690万トン生産が可能になり、企業からのオーダーメイド型注文数は35.3%増加した。
未来をリードする戦略的技術と汎用技術として、AIは新たな質の生産力を構築する際の重要なエンジンとみなされている。中国共産党第18回全国代表大会(第18回党大会)の開催以降、中国はチャンスをとらえ、国家戦略のレベルでAIを計画配置し、発表されたAI分野の論文本数は世界一となり、AI中核産業の規模が5000億元(1元は約20.6円)、企業数が4400社を超えた。工業品質検査、ナレッジマネジメント、自動運転、音声による双方向のやりとりなど、中国のAI応用はより深い進化を遂げているところだ。
春運(春節<旧正月、2014年は2月10日>期間の帰省・Uターンラッシュに伴う特別輸送体制)を迎えて、中国鉄路南寧局集団有限公司の南寧南車両区間では検査修理の現場が繁忙を極めていた。林星副工場長は1日の仕事として、貨物車30台以上の台車の車体との間にあるバネの検査を行っている。検査が必要な緩衝用バネは3000個から4000個に達し、これは以前なら達成不可能な任務だった。現在、林副工場長には、バネ検査選択配置ロボットという新しいアシスタントがいる。この新人アシスタントは複数のAI技術を採用して、バネの直径や高さなどを正確に計算・分析し、基準を満たさないバネを迅速に検出し、効率よく任務を遂行できる。
ロボットはAI技術と製造業の実体経済が深く融合する重要な分野だ。ここ数年、中国はロボット産業が猛烈な勢いで発展し、産業用ロボットの設置台数は世界一で、製造業のロボット密度は作業員1万人あたり392台となった。大規模AIモデルをはじめとする複数の技術が発展・成熟するにつれ、産業用ロボットの高度化の方向性を代表するヒューマノイドが、未来産業を構築し、新たな質の生産力を発展させる際の注目分野になり、今後はコンピューター、スマートフォン、新エネルギー自動車に続く破壊的製品になるものと期待される。(編集KS)
「人民網日本語版」2024年2月6日
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