中国海洋大、16年で1333ヘクタール超の「海底草原」を栽培
海草は陸地の植物が海洋環境に適応できるよう変化した高等植物で、一種もしくは数種の海草がまとまって生えており、広大で柔らかい「海底草原」すなわち海草藻場を形成する。山東省威海市栄成市天鵝湖で、中国海洋大学水産学院の張沛東教授とそのチームのメンバーは16年をかけ、黄海・渤海で1333ヘクタール余りの海草藻場を修復・保護するとともに、海洋の生態環境を保護する相対的に整った温帯海草藻場生態修復技術体制を構築した。人民日報が伝えた。
天鵝湖海域の海草。画像提供は中国海洋大学
張氏は、「草を栽培するためには、事前に大量の調査と試験を行い、海草の生育特性を把握して初めて的を射た対策を講じることができる。この過程だけで10年かかった」と述べた。
天鵝湖の畔には小さな中庭がある。その門柱の看板には「山東栄成鰻草科技小院」と書かれている。屋内のテーブルには各種試験装置が並んでいる。数人の学生が地面にしゃがみ、天鵝湖から採取した植物サンプルを整理していた。教員と学生は海からサンプルを採取するとここに戻り、速やかに試験を行うことができる。
科技小院にはモーターボートのような形をした長さ約67cmの白いボードがある。よく見ると角に8つの小さな穴が開いている。
これは張氏が学生の彭立業氏を指導し研究開発した「無人播種船」だ。彭氏は、「以前は海まで種まきに行っていたが、効率が低く不均等で、種も粘りつきやすく、利用率と活着率が低かった。先生に相談すると、先生は陸上の空からの散布を思いついた。人々は砂漠で飛行機で木を播種しているから、海に種をまく機械を研究開発できないだろうかと考えた」と述べた。
このアイデアが認められると、彭氏は無人播種船の開発に着手した。「粘着を避けるため種に材料をコーティングすると同時に、重量を増やし波にさらわれることを防いだ。ボードの設計では自動餌やりを参考にし、8つの穴から種を噴出するようにした。使用中に人が海に入る必要はなく、岸辺に立ち機械を操縦するだけで均等に播種できる」と彭氏。
チームの教師は「草を植える」効率を高めるため、学生に大胆な模索とイノベーションをしきりに奨励している。教員と学生は無人播種機の他にも、独自の知的財産権を持つ複数の海草藻場修復補助装置を開発した。作業効率が数倍上がった。
張氏は、「将来的に海草藻場の生態修復と炭素固定・吸収源の増加、グリーン生態牧場、高価値生態製品、漁業・観光・文化などの有機的な組み合わせを試み、生態効果と経済効果のウィンウィンを実現する。炭素固定・吸収源の増加以外にも、一部の修復海域でナマコとカキの養殖を試みている」と述べた。
中国海洋大学の教員と学生のチームは現在まで、中国の10数件の海底生態修復プロジェクトに参加し、黄海・渤海で1333ヘクタール余りの海草藻場を修復・保護してきた。天鵝湖海域の4割以上の海草藻場が修復済みで、冬越しのため毎年現地で越冬するオオハクチョウは最多で8000羽以上に達する。(編集YF)
「人民網日本語版」2024年7月9日
注目フォトニュース
関連記事
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257 Mail:japan@people.cn