中国、サンゴ礁生態系の保護・修復をさらに強化

人民網日本語版 2024年07月12日09:22

サンゴ礁は典型的な海洋生態系で、海洋面積のわずか0.25%しか占めていないにもかかわらず、約4分の1の海洋生物を育んでおり、「海の熱帯雨林」と称されている。海洋の生物多様性の守護者であるほか、波を防ぎ堤防を固める海岸の防衛者であり、複数種類の資源を秘める生物の宝庫でもある。このほど通達された「自然資源部(省)弁公庁のサンゴ礁保護・修復の強化に関する通知」は、調査・評価及び早期警報・モニタリング体制の構築・健全化、サンゴ礁生態系の保護・管理の強化、サンゴ礁生態系の保護・修復の科学的な実施、テクノロジーによるサポート力の強化など5つの面から10項目の要求を出した。関係管理制度をさらに改善し、サンゴ礁生態系の質と安定性の向上を推進する。人民日報海外版が伝えた。

サンゴ礁の保護・修復を行う1歩目は徹底的な調査で、早期警報・モニタリングが重要だ。呂意華氏は自然資源部南中国海生態センターの科学研究者で、サンゴ礁の調査・評価・早期警報・モニタリングに従事して10年近くになる。呂氏は、「サンゴ礁分布調査の実施には主に3つの手段がある。1つ目は海洋衛星リモートセンシングを利用し、大規模なサンゴ礁の分布エリアを特定することだ。2つ目は巡航型水中ロボットを操縦し、狭い範囲のサンゴ礁調査を行うことだ。3つ目は人工潜水によりサンゴ礁の分布を正確に確認することだ。これらの方法にはそれぞれの強みがあり、いずれも重要な役割を果たしている」と説明した。

呂氏とそのチームは2019年に浙江大学と協力し、携帯型サンゴ礁調査設備を独自に開発した。近海のサンゴ礁分布調査において潜水作業に取って代わることが可能だ。この設備は低コストで安全性が高く操作しやすく、サンゴ礁のより詳細で全面的な調査が可能で、作業効率を2-3倍高めた。

鄭新慶氏は自然資源部第3海洋研究所の所属で、サンゴ礁の保護・修復活動に従事して10数年になる。「今回同僚と福建省東山県を訪れたのは、海底まで潜水し昨年末に『植えた』サンゴの成長具合を確認するためだ」と鄭氏。

サンゴを「植える」とはサンゴ移植のことで、サンゴ礁修復技術でよく用いられる手段だ。鄭氏によると、サンゴ礁の生態修復は自然回復がメインで、人工修復が補完であることが多い。中国は現在、サンゴ苗床の育成、人工礁の投入、サンゴ全体または一部の移植といった従来的で、無性生殖技術に基づく修復方法を主に採用している。こうすることで短時間内にサンゴの被覆率を高め、サンゴ礁の生息地を急速に回復し、その自然回復のプロセスを加速させることができる。

海でサンゴ礁の保護・修復を実施するほか、鄭氏のもう一部の重要な仕事は陸上の実験室で行っている。福建省厦門(アモイ)市に位置するサンゴ保育館は自然資源部第3海洋研究所が2013年に設立した中国初の大規模なサンゴ繁殖の実験室だ。鄭氏と同僚はここでサンゴ礁の劣化・適応メカニズム及びサンゴの大規模な人工繁殖技術の研究に専念している。

自然資源部は今年6月8日に「2023年中国海洋生態早期警報・モニタリング年報」を発表した。それによると、中国のサンゴ礁生態系の状況は主に良好な状態にある。サンゴ礁は福建省東山県以南の海域に広く分布しており、近海では海南島周辺に最も広く分布している。造礁サンゴの種類は世界で発見されているうちの40%を占め、サンゴ礁魚類は600種近く。23年は各モニタリングエリアの生きたサンゴの被覆率が20年よりやや上昇し、生物群集構造が全体的に安定を保った。一部エリアでは海水温上昇の影響を受け、サンゴの白化現象が発生した。

鄭氏は、「テクノロジーのサポート力を持続的に強化し、サンゴ礁の回復のポテンシャルを高めるべきだ。今後は造礁サンゴの有性生殖技術の研究をさらに深め、種の遺伝子の連続性と遺伝の多様性を維持するとともに、サンゴの環境への耐性の向上に関する重要技術の研究を強化し、『スーパーサンゴ』重要技術のブレイクスルーを達成する。またサンゴ礁修復は生息環境の修復のみならず、サンゴ礁に生息する生物の多様性の回復及び生態機能の回復も含まれる。そのためサンゴ礁の生態系重要機能個体群、サンゴ礁の生態系構造・機能の回復を考慮しなければならない」との見方を示した。(編集YF)

「人民網日本語版」2024年7月12日

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