「技能披露」から「サービス」へ 未来産業で活躍する中国国産人型ロボット

人民網日本語版 2024年08月27日13:27

このほど開催された2024世界ロボット大会では、27種類のロボットが登場して「技を競い合う」様子が見られ、ロボットの出展規模が過去最大になっただけでなく、その積極的な動きで大会の人気者になり、展示ブースはどこもほぼ満員の大盛況だった。

2024世界ロボット大会で披露された人型ロボット(撮影・李欣)

2024世界ロボット大会で披露された人型ロボット(撮影・李欣)

人型ロボットには多くの開発投資が必要で技術的な難度も高いが、外観や動きが人間により近づき、「親近感」や「テクノロジー感」が一層高まっただけでなく、応用の可能性もさらに広がった。

さまざまなロボットと来場者の対面に先立って、北京エンボディドAIロボットイノベーションセンターが開発した「天工1.2MAX」が大会に登場した。21日に行われた大会の開幕式で、この身長173センチ、体重60キロのロボットは、会場にいた数百人の来賓・来場者の見守る中、両手で大会のバッジを持ち、自律的にステージの中央へ進み、来賓と共に大会の開幕を告げるボタンを押し、台を降りる時は手を振ってあいさつすることも忘れなかった。

大会の展示ホールでは、「天工1.2MAX」シリーズのロボットが走る、階段を上るなどのパフォーマンスを披露した。走るスピードは時速6キロと成人のジョギング並みで、世界最高レベルに達していた。

写真提供・北京青年報(撮影・付丁)

写真提供・北京青年報(撮影・付丁)

今大会で披露された人型ロボットにはそれぞれの強みがある。転んでも自分で起き上がれるロボット、ダンスやとんぼ返りのできるロボットなどがあった。中国電子学会の梁靚副事務局長は、「人型ロボットは『人工智能(AI)+ロボット』の産物で、今回披露した動作が可能になった背景には、人型ロボットのハイレベル認知と決定能力がより高まったこと、運動の制御がより正確になったこと、本体構造の運動の精度とエネルギー効率が高まったことがあり、重要技術の発展・進歩が体現されている」と述べた。

人型ロボット産業は発展途上にあり、「バーチャルからリアルへ」の大きな傾向を見せている。人型ロボットメーカーがこれまで部分的な開発成果を展示し、デモンストレーションの動画を流し、静的展示にとどまっていたのに対し、今回の大会ではより多くの完成品が、会場に応用シーンを直接構築し、ロボットが「勤務に当たる」実際のプロセスを来場者に見せるため努力していた。

人型ロボットの研究センターの展示ブースでは、来場者がボタンを押してロボットに「ラテを1杯お願い、Lサイズ、砂糖は不要」と話しかけると、ロボットがあっという間にラテ1杯を完成させ、来場者の前に持っていく様子が見られた。

優必選(UBTECH Robotics)の展示ブースでは、「WalkerS」シリーズの人型ロボットが会場でスマート運搬、仕分け、品質検査の3大主要応用シーンを披露した。同社の譚昊最高ブランディング責任者(CBO)は、「ディープラーニングのコア技術に基づき、WalkerSの品質検査は360度の範囲、50センチ以下の低い場所での検査が可能になり、検査の精度は99%に達した。現在、当社のロボットは中国国内の多くの自動車メーカーの工場で実践的なトレーニングを受けている」と説明した。

業界関係者の見方によると、工業の製造現場、危険化学品の製造などが人型ロボットの大規模な使用が優先的に行われるシーンであり、こうした「働くロボット」はこれから反復型の労働の効率・精度を高め、生産の安全リスクを軽減するなどの面で、実体経済にエンパワーメントすることになる。将来的には、人型ロボットはサービス業や家庭でのつきそいなどのシーンでより重要な役割を果たすようになり、人間の友達やパートナーになるという。

炒め物を作ってる人形ロボット

炒め物を作ってる人型ロボット(撮影・張晨霖)

複数の人型ロボットの出展企業は取材に、「未来産業の1つとして、人型ロボットはコンピューター、スマートフォン、新エネルギー自動車に続いて破壊的製品になるものと期待される」との見方を示した。ゴールドマン・サックスの予測では、2035年の人型ロボットの市場規模は1540億ドル(1ドルは約143.7円)に達するという。

現在、人型ロボットはハードウェアのハードルが高く、ソフトウェアのアルゴリズムの難度が高く、知識の蓄積が難しく、人材がなかなか集まらず、安全な応用が困難であるなど現実的な課題に直面するが、この産業の発展に力を入れることは一般的な共通認識となっている。

最近、中国の人型ロボット技術は一連のブレークスルーを達成した。8月12日には、四川省成都市の人型ロボットイノベーションセンターが中国初のロボットのマルチモーダルモデル(RRMM)と双腕協働ロボット(RTACS)を発表し、コア技術のブレークスルーのための新たな基礎を固めた。8月18日には、智元ロボットは商用人型ロボットの新製品5種類を発表し、10月から量産がスタートすると発表した。

中国電子学会の徐暁蘭理事長が述べたように、「未来はここまでやって来ている。中国の人型ロボット産業は今、爆発的な発展の前夜を迎えている」。(編集KS)

「人民網日本語版」2024年8月27日

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